年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
第14話 相談相手
劇場を出た私は、ふくれっ面だった。
「機嫌を直してくださいよ」
「無理です」
せっかく舞台を見る機会を得たというのに。アルロイさんの行動のせいで、まったく集中できなかった。
(物語もはじめしか覚えてないし……)
これじゃあ奥さまの退屈を紛らわせるなんて、夢のまた夢よ。
「別にいいじゃないですか。また来ましょう」
当然のようにアルロイさんは言うけど、またなんて機会は来るのだろうか。
そもそも、この関係はいつまで続くのか。疑問の多い関係なのだ。
(アルロイさんは私のことをあきらめるつもりはないみたい。ただ、私は……)
本当にアルロイさんのことをそういう意味で好きになることができるのだろうか――?
心に暗い影が差す。どうしよう。私、このままだと不誠実な人になってしまう。
「あ、アルロイさん」
意を決して彼の顔を見上げ、名前を呼んだ。彼がぱちりと瞬きをする。
「や、やっぱり私、あなたの気持ちには……」
口ごもった。これ以上言えなかった。どうしてだろうか。
うつむいてもじもじする私を見て、アルロイさんは私の肩に手を置く。ぽんっと肩をたたかれた。
「機嫌を直してくださいよ」
「無理です」
せっかく舞台を見る機会を得たというのに。アルロイさんの行動のせいで、まったく集中できなかった。
(物語もはじめしか覚えてないし……)
これじゃあ奥さまの退屈を紛らわせるなんて、夢のまた夢よ。
「別にいいじゃないですか。また来ましょう」
当然のようにアルロイさんは言うけど、またなんて機会は来るのだろうか。
そもそも、この関係はいつまで続くのか。疑問の多い関係なのだ。
(アルロイさんは私のことをあきらめるつもりはないみたい。ただ、私は……)
本当にアルロイさんのことをそういう意味で好きになることができるのだろうか――?
心に暗い影が差す。どうしよう。私、このままだと不誠実な人になってしまう。
「あ、アルロイさん」
意を決して彼の顔を見上げ、名前を呼んだ。彼がぱちりと瞬きをする。
「や、やっぱり私、あなたの気持ちには……」
口ごもった。これ以上言えなかった。どうしてだろうか。
うつむいてもじもじする私を見て、アルロイさんは私の肩に手を置く。ぽんっと肩をたたかれた。