早河シリーズ最終幕【人形劇】
早河の車が品川駅のロータリーに到着するとすでに高山政行が待っていた。挨拶もそこそこに高山を乗せて啓徳大学病院に向かう。
『まだ信じられません。あの神明先生が犯罪組織のキングだなんて……』
娘の有紗が佐伯に襲われ、信頼していた部下の正体を突然知ることとなり、高山にとって今日は疲労と気苦労の1日だろう。
『神明大輔はどのような経緯で高山さんのカウンセリングチームに加わることになったんですか?』
『私の恩師の紹介なんです。有紗のこともあってうちのカウンセリングチームはPTSD研究に力を入れてきました。そこで犯罪心理学に長けた心理士をチームに加えたらどうかと恩師に提案されて紹介してもらった方が神明先生なんです』
『恩師とはどのような方です?』
『日本の心理学界の権威とも言われている君塚忠明《きみづか ただあき》先生です。何冊もの著書と論文を発表されているとても優秀な方で……。大学時代の私の指導教官でもありました』
君塚と貴嶋が繋がっているのなら高山の懐に貴嶋が入り込めるよう、君塚が高山を誘導したに違いない。高山も優秀な精神科医ではあるが、その指導教官ともなればかつての教え子の高山をマインドコントロールすることも可能だ。
(君塚の素性とその周辺も調べた方がよさそうだ。次から次へと……俺の周りを荒らしてくれるじゃねぇか)
啓徳大学病院に到着した早河と高山は有紗に会う前に精神科のスタッフルームに立ち寄った。
『ここが神明先生のデスクです。彼は非常勤なので荷物はあまり置かれてはいませんが……』
神明大輔が貴嶋だとわかってはいても高山はどうしても呼び慣れた呼称で呼んでしまっている。
早河は貴嶋が神明として使用していたデスクの引き出しを躊躇なく開けて中を探った。
精神科のスタッフ達は部長の高山の帰京に安堵した様子だったが、すぐに顔色を変えて早河の動きを目で追っていた。高山が神明の正体の説明をすると女性スタッフからは小さな悲鳴が上がり、皆が動揺していた。
「神明先生ならついさっきお見えになっていました。デスクで作業をされた後にまた出ていかれましたけど……」
『それは何時頃ですか?』
早河が尋ねると女性スタッフは自身の腕時計を見て時間を確認した。
「2時間くらい前です。確か2時頃だったと思います」
『2時……ニアミスもいいとこだ』
早河が東京拘置所に行くために病院を出たのが1時頃、おそらく貴嶋は早河が病院を出たことを確認した後にここへ来た。
『まだ信じられません。あの神明先生が犯罪組織のキングだなんて……』
娘の有紗が佐伯に襲われ、信頼していた部下の正体を突然知ることとなり、高山にとって今日は疲労と気苦労の1日だろう。
『神明大輔はどのような経緯で高山さんのカウンセリングチームに加わることになったんですか?』
『私の恩師の紹介なんです。有紗のこともあってうちのカウンセリングチームはPTSD研究に力を入れてきました。そこで犯罪心理学に長けた心理士をチームに加えたらどうかと恩師に提案されて紹介してもらった方が神明先生なんです』
『恩師とはどのような方です?』
『日本の心理学界の権威とも言われている君塚忠明《きみづか ただあき》先生です。何冊もの著書と論文を発表されているとても優秀な方で……。大学時代の私の指導教官でもありました』
君塚と貴嶋が繋がっているのなら高山の懐に貴嶋が入り込めるよう、君塚が高山を誘導したに違いない。高山も優秀な精神科医ではあるが、その指導教官ともなればかつての教え子の高山をマインドコントロールすることも可能だ。
(君塚の素性とその周辺も調べた方がよさそうだ。次から次へと……俺の周りを荒らしてくれるじゃねぇか)
啓徳大学病院に到着した早河と高山は有紗に会う前に精神科のスタッフルームに立ち寄った。
『ここが神明先生のデスクです。彼は非常勤なので荷物はあまり置かれてはいませんが……』
神明大輔が貴嶋だとわかってはいても高山はどうしても呼び慣れた呼称で呼んでしまっている。
早河は貴嶋が神明として使用していたデスクの引き出しを躊躇なく開けて中を探った。
精神科のスタッフ達は部長の高山の帰京に安堵した様子だったが、すぐに顔色を変えて早河の動きを目で追っていた。高山が神明の正体の説明をすると女性スタッフからは小さな悲鳴が上がり、皆が動揺していた。
「神明先生ならついさっきお見えになっていました。デスクで作業をされた後にまた出ていかれましたけど……」
『それは何時頃ですか?』
早河が尋ねると女性スタッフは自身の腕時計を見て時間を確認した。
「2時間くらい前です。確か2時頃だったと思います」
『2時……ニアミスもいいとこだ』
早河が東京拘置所に行くために病院を出たのが1時頃、おそらく貴嶋は早河が病院を出たことを確認した後にここへ来た。