早河シリーズ最終幕【人形劇】
突如会場内がどよめいて場内の視線が一点に集中する。何が起きたのか困惑する美月も人々の視線の先を追った。
紅色のロングドレスを纏う女性が会場後方の扉から入ってきた。グレージュ色に染まるロングヘアーは胸元でゆるく巻かれ、露出したデコルテに輝くダイアのネックレス。マーメイドラインのロングドレスの裾が彼女が歩くたびにひらひら揺れる。
男も女も会場にいる誰もが彼女の美しさに魅了された。それは美月も同様だ。
(めちゃくちゃ綺麗な人。女優さんみたい……)
美月の側にいた貴嶋が慣れた仕草で女性の手を取ってエスコートする。貴嶋と女性の自然なやりとりに美月は直感した。
(この人がクイーン?)
紅色のドレスの女性は貴嶋に手を引かれて美月の前に現れる。女性は美月に優しく微笑みかけた。
「あなたが浅丘美月さんね。はじめまして。寺沢莉央です」
品のいいソプラノの声が美月の名を呼ぶ。美月は会釈して、差し出された莉央の手をおずおずと握る。
莉央の爪はドレスとお揃いの真っ赤なネイル。
着ているドレスやネイルの色も、白と赤と正反対の美月と莉央が初めての対面を果たした瞬間だった。
貴嶋が莉央の肩を抱く。
『しばらく二人で話をしていなさい』
「あら、レディ二人をエスコートもなしに置き去りにするなんて酷い人ね」
『ははっ。君も美月も、私がいない方が話しやすいだろう? 美月、莉央と一緒に楽しんでいてね』
貴嶋は莉央に美月の相手を任せて会場の人混みに姿を消した。莉央と二人で残された美月は心細げに莉央を見つめる。美月の視線に気付いた莉央が口元を上げた。
「何か食べた?」
「いえ、まだ何も……」
「じゃあ料理でも持ちに行きましょうか」
莉央と共に料理が並ぶテーブルに向かう最中、会場の人々の視線を痛いほど感じた。それも自分に集まる注目ではなく莉央への注目の視線だ。
(さすがカオスのクイーン。こういうセレブなパーティーには慣れてるのね……)
テーブルに並ぶ料理を莉央が皿に取り分けてくれた。美月は恐縮して皿を受け取ったが、実はまったく食欲がなかった。
時刻はすでに日没を迎え、若干の空腹の気配は感じるのに豪華な料理を前にしても食が進まない。
場馴れしないパーティーの雰囲気と貴嶋と莉央の存在が美月の神経を萎縮させていた。
紅色のロングドレスを纏う女性が会場後方の扉から入ってきた。グレージュ色に染まるロングヘアーは胸元でゆるく巻かれ、露出したデコルテに輝くダイアのネックレス。マーメイドラインのロングドレスの裾が彼女が歩くたびにひらひら揺れる。
男も女も会場にいる誰もが彼女の美しさに魅了された。それは美月も同様だ。
(めちゃくちゃ綺麗な人。女優さんみたい……)
美月の側にいた貴嶋が慣れた仕草で女性の手を取ってエスコートする。貴嶋と女性の自然なやりとりに美月は直感した。
(この人がクイーン?)
紅色のドレスの女性は貴嶋に手を引かれて美月の前に現れる。女性は美月に優しく微笑みかけた。
「あなたが浅丘美月さんね。はじめまして。寺沢莉央です」
品のいいソプラノの声が美月の名を呼ぶ。美月は会釈して、差し出された莉央の手をおずおずと握る。
莉央の爪はドレスとお揃いの真っ赤なネイル。
着ているドレスやネイルの色も、白と赤と正反対の美月と莉央が初めての対面を果たした瞬間だった。
貴嶋が莉央の肩を抱く。
『しばらく二人で話をしていなさい』
「あら、レディ二人をエスコートもなしに置き去りにするなんて酷い人ね」
『ははっ。君も美月も、私がいない方が話しやすいだろう? 美月、莉央と一緒に楽しんでいてね』
貴嶋は莉央に美月の相手を任せて会場の人混みに姿を消した。莉央と二人で残された美月は心細げに莉央を見つめる。美月の視線に気付いた莉央が口元を上げた。
「何か食べた?」
「いえ、まだ何も……」
「じゃあ料理でも持ちに行きましょうか」
莉央と共に料理が並ぶテーブルに向かう最中、会場の人々の視線を痛いほど感じた。それも自分に集まる注目ではなく莉央への注目の視線だ。
(さすがカオスのクイーン。こういうセレブなパーティーには慣れてるのね……)
テーブルに並ぶ料理を莉央が皿に取り分けてくれた。美月は恐縮して皿を受け取ったが、実はまったく食欲がなかった。
時刻はすでに日没を迎え、若干の空腹の気配は感じるのに豪華な料理を前にしても食が進まない。
場馴れしないパーティーの雰囲気と貴嶋と莉央の存在が美月の神経を萎縮させていた。