早河シリーズ短編集【masquerade】
2011年7月30日(Sat)
犯罪組織カオス壊滅と寺沢莉央の死から今年の冬で2年が経過する2011年、夏。今日は美月の22歳の誕生日だ。
「どこに行くの?」
助手席の美月が車窓を見て首を傾げている。隼人が普段は使わない道を運転していることに違和感を覚えたようだ。
『着いてからのお楽しみ』
「ケチーッ!」
不服そうに眉を寄せる美月のそんな顔も隼人には可愛く見えて仕方ない。片手でハンドルを操り、片手で彼女の柔らかな髪を撫でた。
『着けばわかるから。しばらく待ってて』
車が首都高に入る。夏休みシーズンの土曜の道路は予想通りの混雑だが、1時間もかからないうちに目的地に到着した。
「みなとみらいだぁ!」
夕焼けに染まる空の下に広がる横浜の景色に美月は歓喜する。横浜のシンボル、ランドマークタワーの前を横切り、みなとみらい名物の大観覧車が見えた。
隼人の車が高層ビルの地下駐車場のスロープに滑り込む。どこに到着したのか気付いた美月は、落ち着きなく隼人の顔を盗み見ていた。
駐車場に車を駐めて、彼はトランクに隠していたボストンバッグを取り出した。
『明日の着替え。ちゃんと美月の分も入れてあるよ』
「着替えって……そういうこと?」
『さぁて、名探偵美月ちゃんの推理は当たるでしょうか?』
「やっぱり隼人ってドS!」
こんな普通の日常が何よりも楽しい。美月とならどんなことでも、いつも楽しい。
美月の手をとって地下駐車場からエレベーターで一階のロビーに出た。華やかで明るい空間のフロントで隼人はスムーズにチェックインを済ませてカードキーを受け取った。
「ねぇねぇ、こんな高そうなホテルいつ予約したの?」
『3ヶ月前』
「そんなに前から? あーっ! だから隼人、ゴールデンウィークの辺りから、今年は誕生日に絶対デートしようって言ってたんだ……」
『そ。ここ人気だから、それくらい前からじゃないと良い部屋とれないんだ。今年は美月の誕生日が土曜だったし、たまにはこういう所に泊まるのもいいかなって』
乗り込んだエレベーターが二十二階で停まる。カードキーには二十二階の部屋番号が印字されていた。
紺色のカーペットが敷かれた廊下を進み、カードキーの部屋番号と扉のプレートの番号を確認してキーを差し込んだ。
彼は先に美月を部屋に入れた。
「うわぁ……凄いっ! 観覧車が目の前に見えるっ」
部屋に入った美月が真っ先に向かったのは部屋の片一面を占める大きな窓。窓の外には、ラベンダー色の夏の空とライトアップされた遊園地のイルミネーション。
真っ正面にキラキラと光を放つ大観覧車がある。
この街の輝きは東京の夜景とはまた違う。東京の夜景が宝石箱なら、横浜の夜景はおもちゃ箱。夢の輝きが詰まっている。
犯罪組織カオス壊滅と寺沢莉央の死から今年の冬で2年が経過する2011年、夏。今日は美月の22歳の誕生日だ。
「どこに行くの?」
助手席の美月が車窓を見て首を傾げている。隼人が普段は使わない道を運転していることに違和感を覚えたようだ。
『着いてからのお楽しみ』
「ケチーッ!」
不服そうに眉を寄せる美月のそんな顔も隼人には可愛く見えて仕方ない。片手でハンドルを操り、片手で彼女の柔らかな髪を撫でた。
『着けばわかるから。しばらく待ってて』
車が首都高に入る。夏休みシーズンの土曜の道路は予想通りの混雑だが、1時間もかからないうちに目的地に到着した。
「みなとみらいだぁ!」
夕焼けに染まる空の下に広がる横浜の景色に美月は歓喜する。横浜のシンボル、ランドマークタワーの前を横切り、みなとみらい名物の大観覧車が見えた。
隼人の車が高層ビルの地下駐車場のスロープに滑り込む。どこに到着したのか気付いた美月は、落ち着きなく隼人の顔を盗み見ていた。
駐車場に車を駐めて、彼はトランクに隠していたボストンバッグを取り出した。
『明日の着替え。ちゃんと美月の分も入れてあるよ』
「着替えって……そういうこと?」
『さぁて、名探偵美月ちゃんの推理は当たるでしょうか?』
「やっぱり隼人ってドS!」
こんな普通の日常が何よりも楽しい。美月とならどんなことでも、いつも楽しい。
美月の手をとって地下駐車場からエレベーターで一階のロビーに出た。華やかで明るい空間のフロントで隼人はスムーズにチェックインを済ませてカードキーを受け取った。
「ねぇねぇ、こんな高そうなホテルいつ予約したの?」
『3ヶ月前』
「そんなに前から? あーっ! だから隼人、ゴールデンウィークの辺りから、今年は誕生日に絶対デートしようって言ってたんだ……」
『そ。ここ人気だから、それくらい前からじゃないと良い部屋とれないんだ。今年は美月の誕生日が土曜だったし、たまにはこういう所に泊まるのもいいかなって』
乗り込んだエレベーターが二十二階で停まる。カードキーには二十二階の部屋番号が印字されていた。
紺色のカーペットが敷かれた廊下を進み、カードキーの部屋番号と扉のプレートの番号を確認してキーを差し込んだ。
彼は先に美月を部屋に入れた。
「うわぁ……凄いっ! 観覧車が目の前に見えるっ」
部屋に入った美月が真っ先に向かったのは部屋の片一面を占める大きな窓。窓の外には、ラベンダー色の夏の空とライトアップされた遊園地のイルミネーション。
真っ正面にキラキラと光を放つ大観覧車がある。
この街の輝きは東京の夜景とはまた違う。東京の夜景が宝石箱なら、横浜の夜景はおもちゃ箱。夢の輝きが詰まっている。