早河シリーズ短編集【masquerade】
夕闇が街を包む頃に〈結婚と卒業、就職を祝う会〉はお開きになった。集まった人々は順に木村家から去っていく。
最後に渡辺と麻衣子を見送って玄関の扉を閉めた途端に静寂が訪れた。
「一気に静かになっちゃった」
『アイツらがうるさ過ぎるんだ』
麻衣子達が宴会の片付けを手伝ってくれたおかげで洗い物やゴミも綺麗に片付いている。間もなく夕食の時間になるが、宴会でピザや寿司、ケーキを食べた美月と隼人の腹の虫はまだ鳴らない。
『コーヒーでも飲むか。美月は座ってろよ。カフェオレでいい?』
「うん」
コーヒー作りは隼人に任せて美月はダイニングテーブルの椅子に腰かける。その時に初めて、テーブルに置きっぱなしにしていたスマートフォンの光るランプに気付いた。
新着メールが一件。差出人は今日の集まりに予定が合わずに参加できなかった渡辺の従弟の松田宏文。
松田は美月の大学の2年先輩で、美月が2年生の時に彼から告白された。その時期は隼人との関係がギクシャクしていた頃でもあり、一度だけ松田の優しさに寄りかかってしまった。
色々あったが、今は美月の良き理解者の松田はいつの間にか隼人とも交流を深めていた。
隼人も松田も、美月のことは抜きにして互いに友人関係を築きたいと思ったそうだ。
松田からの祝福メールに心が和む。対面式のキッチンにいる隼人が美月に声をかける。
『どうした?』
「松田先輩からメール来てた。結婚おめでとうって」
『俺にも届いてたよ。またヒロも誘って飲み会やろうな』
隼人がコーヒーが入る二つのマグカップをテーブルに置く。彼は椅子に座る美月を立ったまま後ろから抱き締めた。
『でもヒロからのメールでそんなに嬉しそうな顔されるのも気に入らねぇなぁ』
「ヤキモチ?」
『そう。俺は美月限定で独占欲強いんだよ。この指輪で、美月は俺のモノって見せつけてやる』
隼人はおとぎ話の王子さながらに美月の左手薬指の指輪に口付けを落とす。何をしても様になる隼人の、真っ直ぐな瞳に射抜かれた美月の心臓が甘く痛んだ。
『こんな独占欲の強い男に捕まって後悔してる?』
「してないよ。隼人に捕まえられて私は幸せ。だから私も隼人を捕まえるの」
『おっ。美月に捕まえるって言われるのも良いものだな。今度ミニスカポリスの衣装着よっか? 絶対似合うぞ?』
「着ません! せっかく顔は格好いいのに変態なことばっかり言うんだから」
赤くなったり頬を膨らませたり忙しく表情を変える美月と澄ました顔でそんな美月を愉しげにからかう隼人。
結婚2日目も笑顔に溢れた楽しい1日だった。
最後に渡辺と麻衣子を見送って玄関の扉を閉めた途端に静寂が訪れた。
「一気に静かになっちゃった」
『アイツらがうるさ過ぎるんだ』
麻衣子達が宴会の片付けを手伝ってくれたおかげで洗い物やゴミも綺麗に片付いている。間もなく夕食の時間になるが、宴会でピザや寿司、ケーキを食べた美月と隼人の腹の虫はまだ鳴らない。
『コーヒーでも飲むか。美月は座ってろよ。カフェオレでいい?』
「うん」
コーヒー作りは隼人に任せて美月はダイニングテーブルの椅子に腰かける。その時に初めて、テーブルに置きっぱなしにしていたスマートフォンの光るランプに気付いた。
新着メールが一件。差出人は今日の集まりに予定が合わずに参加できなかった渡辺の従弟の松田宏文。
松田は美月の大学の2年先輩で、美月が2年生の時に彼から告白された。その時期は隼人との関係がギクシャクしていた頃でもあり、一度だけ松田の優しさに寄りかかってしまった。
色々あったが、今は美月の良き理解者の松田はいつの間にか隼人とも交流を深めていた。
隼人も松田も、美月のことは抜きにして互いに友人関係を築きたいと思ったそうだ。
松田からの祝福メールに心が和む。対面式のキッチンにいる隼人が美月に声をかける。
『どうした?』
「松田先輩からメール来てた。結婚おめでとうって」
『俺にも届いてたよ。またヒロも誘って飲み会やろうな』
隼人がコーヒーが入る二つのマグカップをテーブルに置く。彼は椅子に座る美月を立ったまま後ろから抱き締めた。
『でもヒロからのメールでそんなに嬉しそうな顔されるのも気に入らねぇなぁ』
「ヤキモチ?」
『そう。俺は美月限定で独占欲強いんだよ。この指輪で、美月は俺のモノって見せつけてやる』
隼人はおとぎ話の王子さながらに美月の左手薬指の指輪に口付けを落とす。何をしても様になる隼人の、真っ直ぐな瞳に射抜かれた美月の心臓が甘く痛んだ。
『こんな独占欲の強い男に捕まって後悔してる?』
「してないよ。隼人に捕まえられて私は幸せ。だから私も隼人を捕まえるの」
『おっ。美月に捕まえるって言われるのも良いものだな。今度ミニスカポリスの衣装着よっか? 絶対似合うぞ?』
「着ません! せっかく顔は格好いいのに変態なことばっかり言うんだから」
赤くなったり頬を膨らませたり忙しく表情を変える美月と澄ました顔でそんな美月を愉しげにからかう隼人。
結婚2日目も笑顔に溢れた楽しい1日だった。