The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
予定通り、午後一時ぴったりに。

我がクラスの、『女装・男装コンテスト』が開催された。

どうせ観客なんて、アイズやシュノさん達しかいないだろうと思っていたのに。

「結構人いますね…」

「うん…凄い」

冷やかしも含んでるとは思うんだけど、用意していた観客用のパイプ椅子は一杯になっていた。

後ろの方で立ち見している人もいるくらいだ。

あ、ちゃんとアイズ達もいる。

彼らもあれだな。こうして紛れ込んでいると、とてもマフィアの幹部には見えない。

俺も人のこと言えないか。

…それよりも。

「…ユーシャさん。それがお兄さんの?」

「え?うん。似合う…かな?お兄様は優しいから、似合うって言ってくれたんだけど…」

うん。それ、似合うって答える以外にないよね。

「えぇ、似合いますよ」

我ながら棒読みだったが、のろけているユーシャはそんなことには気がつかない。

つーか臭ぇ。シューレン臭い。ゲロ嗅いでた方がまだまし。

嫌でも昔のことを思い出してしまう。どっか行ってくれないかな。

「今日は…お兄さんは来ないんですか?」

「えぇ。残念だけど…。元貴族の自分が行って、騒ぎになったらいけないからって」

ふーん。何を自惚れてるのか知らないが、所詮弱小貴族のシューレンが来たところで、何の騒ぎにもならないぞ?

残念だ。奴が来てくれたら、感動の再会を果たせたのに。

まぁ良いか。それはまた後日。

「ルナニアさんは?まだ服着ないの?」

「俺は出場順、後半なので」

ちなみに出場順は、くじ引きで決めた。

今度は不正はしなかった。別にいつでも良いし。

「後半になったら、俺が出場してる間、ここの仕事頼んでも良いですか?」

「うん、分かった」

大した仕事はない。BGMは流しっぱなしだし、受付は別の係がやってくれてるから。

精々、出場者の誘導するくらいのものだ。

まぁ、そのくらいならユーシャに任せても問題なかろう。

「じゃ、そろそろ開会の挨拶してきますね」

「うん」

俺は教室の正面に設置したステージの上に、マイクを持って立ち、挨拶をすることにした。
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