The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
挨拶の後、早速トップバッターが出てきた。

出場者はステージに上がったら、ファッションショーみたいに、30秒くらいステージの上を練り歩いてアピールする。

ポーズを取ったり。衣装を見せびらかしたり。

とはいえ出場者は、うぶな高校生。

皆恥ずかしがって、照れ笑いで誤魔化してばかりだった。

特に、男子達は。

恥ずかしがったら余計恥ずかしいと思うのだが。

何でもっと堂々としないんだ?

それにしても、舞台袖で眺めていると…クラスメイト達の、あの気合いの入らない衣装。

げんなりしてしまうほどだ。

女の子達なんて、最高につまらない。学ランを着ていればまだ良い方だ。

髪をポニーテールにまとめて、ラフなTシャツにジーパンを合わせただけの奴もいる。

それは男装とは言わない。

中にはユーシャと同じように、家族のものを借りてきたのだろう、ややぶかぶかの男物の服を着ている子もいた。

いまいちぱっとしない中、注目を集めたのはミューリアだった。

ミューリアはシックな黒いコートをすらりと着こなし、普段は長い髪をまとめて、短髪のウィッグをつけていた。

ウィッグをつけると、結構本格的に見える。

なかなか良いじゃないか。服の趣味はいまいちだが。

ミューリアは元々顔は美人だし、背も高いからよく映える。

何より彼女は他の女子のように、照れ臭そうにおどおどしていなかった。

こういうときは堂々としているだけで、様になるというものだ。

彼女がステージに上がると、観客もどっと沸いていた。

これは…女子の部は、ミューリアが優勝かな?

他がカス過ぎるから仕方ない。

ユーシャも楽しそうに舞台に上がってはいたけど、恥ずかしそうにもじもじするばかりで全然様になっていなかった。

ちなみにカセイは、少しサイズが大きい黒いタキシードを身に付けていた。

あれ、誰のだろう。Xの…じゃないよな?

彼女は彼女で堂々としているのだけど、「本当はこんなこと興味ないけど、仕方なく出てます」という本音が滲み出ていて。

まぁ、高校の文化祭なんてこんなもんか。

「はぁ、恥ずかしかった…」

顔を赤くして舞台袖に戻ってくるユーシャ。感想を言いたいのは分かるが、生憎俺は忙しいので。

「俺、衣装つけてくるのでここお願いします」

「あ、うん。頑張ってね」

俺はただ服を着るだけだから、頑張るも何もないのだが。

…まぁ、精々頑張らせてもらおうか。

俺はルナニアではなく、ルレイアとしての妖艶な笑みを、密かに浮かべた。
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