【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「シェリル様。無茶はしないでくださいませ」

 彼女はその茶色の前髪をかき上げながら、そう言葉を投げつけてきた。そのため、私は「……ごめんなさい」と謝ることしか出来なくて。

「エヴェラルド・パルミエリ様。……私が本気になれば、貴方様なんて木っ端みじんです」

 その後、私からエヴェラルド様に視線を移し、ロザリア様はそう宣言する。

「……なっ」
「言っちゃあなんですが、私――強いですよ?」

 今のロザリア様の表情はよく見えない。でも、きっと――相当な怒りを含んだ表情をしているだろうなぁということだけは、想像できて。

「シェリル様を傷つけるものは、何であろうと許しません」

 ロザリア様は真剣な声音でそんなお言葉をぶつけると一瞬でエヴェラルド様との距離を詰める。

 それから――。

「お覚悟してくださいませ!」

 ――思いきり、エヴェラルド様の頬を殴った。それも、グーで。

「――くっ!」

 エヴェラルド様の身体が飛ぶ。そのまま対面の植木の中に突っ込み、「何をするんだ!」と言いながら起き上がる。

(……あれを食らって起き上がれるとか、どれだけタフなのかしら……?)

 彼が病弱だというのは、嘘にしか見えなくなってしまった。心の奥底でそう思いながら、私はそっと視線を逸らした。
< 126 / 164 >

この作品をシェア

pagetop