【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「エリカのことは、エリカのことは僕の方が幸せにできるっ!」

 エヴェラルド様のそのお言葉は、ある意味正しいのかもしれない。今まで存在でエリカのことを苦しめてきた私よりも、ずっと彼の方がエリカのことを想えているのかもしれない。……でも、どうしても――。

「だったら、正当な方法で行けばよかったのよ」

 こんな隠れてこそこそとする方法が正しいとは思えないのだ。その所為であの子は精神を病んでしまい、寝不足に陥っていた。……私に助けを求めて、ここに来るほどに追い詰められていた。

「……正当な方法で、なんて……」
「……どういうこと?」
「どういうこともこういうこともないんだ! 全部、お前が悪い! お前が、お前がアシュフィールド侯爵家を没落にさえ追い込まなければ――」

 エヴェラルド様がぎゅっと手のひらを握って、そう叫ばれる。

 ……私が、悪い、か。

「お前だけ幸せになって、許されると思うな!」

 心の底からの叫びとばかりに、エヴェラルド様はそう叫ばれた。その後、立ち上がって早足で場を立ち去っていく。

 ……私だけが幸せになって、許されると思うな。

(……確かに、私の幸せによって不幸になった人はいる。イライジャ様や、お父様やお義母様。……だけど、私だって幸せになりたいのよ)

 そっと目を瞑って、そう思う。私は自己犠牲をしてまで他人の幸せを願えるほど、出来た人間じゃないから。

 だから――。

(私も、幸せになりたかったの)

 そう思ってしまうことくらい、許してほしい。

 そんな風に思う私の胸の中には、エヴェラルド様のお言葉が渦巻いていた。
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