【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「……そうか」

 ギルバート様はそれだけをおっしゃるとソファーに腰を下ろされる。そのため、私も対面のソファーに腰を下ろした。

 ……しばしの沈黙が場を支配して、何とも言えない空気になる。

「え、えぇっと……」

 沈黙が辛くて私が声を上げれば、ギルバート様は「……今日の夕食の時」と静かに声を発せられた。

「あんまり、元気がないように見えたからな」

 その後、そう続けられる。……だからこそ、私は視線を下に向けた。実際、お世辞にも元気とは言えなかった。体調もまだ少し不安定だし、何よりもエヴェラルド様のお言葉が胸に突き刺さっていた。その所為、なのだろう。

「……そんなの」

 でも、ギルバート様に弱音を吐くことは出来なかった。弱音を吐いたら面倒な女になってしまうかもしれない。そんな一抹の不安があるからこそ、私はぎゅっと唇を結ぶ。

 病気で弱っていたりするときは、どうしても弱音が出てしまう。けれど、今はそうではないのだ。

 そう、自分自身に言い聞かせる。

「なぁ、シェリル」

 不意にギルバート様が立ち上がられて、私のすぐ真横に移動してこられた。それに驚いて顔を上げれば、ギルバート様の不安そうな表情が視界いっぱいに広がる。

「俺は、シェリルの力にはなれないのか?」

 そして、静かな声でそう告げてこられた。

「俺は、シェリルの力になりたい。だから……何でも話してほしいと思っている」
「……ギルバート様」
「だから、そんな不安そうな顔をしないでほしい」

 ゆっくりと告げられたその言葉に、私は……なんと反応していいかわからなくなってしまった。

 ぎゅっと唇を一の字に結び続けていたけれど、その唇がふっと緩む。それから、ギルバート様から視線を逸らして「……私、幸せになってよかったのでしょうか?」と小さな声で問いかけていた。
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