【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
(しっかりと、振らなくちゃ)

 そして、私はそう思う。もうこんなことは止めてほしい。こんなことをしても私の気持ちは貴方には向かない。はっきりとそう言えばいい。そういえれば……すべてが解決する。私はもう、お義姉様に迷惑をかけないで済む。

 だけど、それと同時にお義姉様と離れるのが寂しいと思ってしまった。……昼間。本当ならば、私は「お義姉様の挙式に出たい」というつもりだった。お義姉様をいっぱい祝福したかった。……でも、私が参列することは許されないような気もした。

 だって、そうじゃない。お義姉様の幸せを壊してめちゃめちゃにしてきた私が……お義姉様を祝福するなんて許されたことじゃない。

「……よし、明日にでも出てきましょう」

 正直なところ、リスター伯爵やマリンにお礼を言わずに出て行くのは心苦しい。だけど、犯人が分かった以上私がここに滞在する意味などない。さっさと向き合って、新しい住処を探さなくては。

(……お父様やお母様は、どうなさっているのかしら)

 ふとそんなことを思った。ギャンブルに溺れたお父様は私が帰ってきていないことに気が付いていないかもしれない。お母様は老人の元に嫁がされるのが嫌で逃げたと受け取られたかもしれない。……構わない。だって、私の家族はお義姉様だけ。……そう、思いたかった。

 枕もとのランプをつけて、私は近くの棚からペンと便箋を取り出す。そこに今までの感謝の気持ちを綴っていく。

 お世話になりました。私はもう大丈夫です。本当に、ありがとうございました。

 そんな当たり障りのない言葉を綴った後、私はこのお屋敷を出るための準備を始める。あまり夜中に出歩くのは褒められたことじゃないから、日が出始めた早朝に出て行きましょう。

(……お義姉様)

 感謝の気持ちを綴っている最中、ふと涙が零れてしまった。お義姉様は、まだこんな私を愛してくれている。いっぱい傷つけて、たくさんめちゃくちゃにしてしまった私のことを。……本当ならば、私は愛される資格なんてないのに。
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