【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
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「……今日も、お母様もお父様も帰ってこられないのね」
そんなことを呟いて、私は固いパンをかじる。今まで食べていたふわふわのパンは、もう食べることが出来ない。お父様やお母様はそれを悲しみ、周囲に当たり散らしている。けど、私はそういう気分じゃなかった。固いパンでも、食べられるだけマシだ。こうなった場合、そう思うのが正しいのだから。
私、エリカ・アシュフィールドはこのウィリス王国の王都貴族アシュフィールド侯爵家の次女だった。しかし、ほんの少し前に実家は没落。その理由は、辺境の有力貴族の怒りを買ったから。王都貴族と辺境貴族だと、辺境貴族の方に権力がある。さらに言えば、実家は元々落ちぶれていた。だから、容易く潰されてしまった。
「……お義姉様」
パンを食べながら、そんな言葉を呟く。私が虐げてきたお義姉様。そんなお義姉様は、きっと今頃ふわふわのパンを食べて、お姫様のような生活をしているのだろう。彼女は辺境の有力貴族リスター伯爵に見初められ、そのまま婚約された。……元々は厄介払いのような婚約だったけれど、お二人はきっと幸せなのだろう。……前に一度見た時は、少なくとも幸せそうだった。……十五歳の年齢差を、感じさせないくらいには。
「……きっと、幸せなのよね。お姫様みたいな生活をして、周りにちやほやされて」
私とは、真逆だ。私はギャンブルとお酒に溺れたお父様と、別の男性の元に通っているお母様の帰りを孤独に待つだけの娘。でも、一人の方がずっと気楽。だって、不機嫌なお父様とお母様のお顔を見ないで済むから。
実家が没落後、お父様はお酒とギャンブルに溺れた。自分は侯爵だったのだと周囲に威張り散らしていたため、近所からの評判もとても悪い。お母様はお金持ちの別の男性を見つけ、その男性の元に足しげく通っている。きっと、もう一度お金持ちに返り咲こうとしているのだろう。……そうじゃないと、娘を六十を過ぎた好色の男性の元に嫁がせようとはしない。
「私も、お義姉様みたいに幸せな結婚がしたいなぁ」
そう思っても、無理なことは分かっている。それに、これが私に与えられた罰なのだろう。何の罪もないお義姉様を虐げたという、罪に対する罰。だから、私が嘆く権利はない。……お義姉様は、これよりもずっと辛かったのだから。
「……会いたい。一言だけ、謝りたい」
それは結局自己満足でしかない。分かっている。分かっていても――どうしても、お義姉様に一言「ごめんなさい」と言いたかった。でも、一歩が踏み出せない。お義姉様はきっと、私のことを嫌っているから。顔なんて、見たくもないだろうから。
「……今日も、お母様もお父様も帰ってこられないのね」
そんなことを呟いて、私は固いパンをかじる。今まで食べていたふわふわのパンは、もう食べることが出来ない。お父様やお母様はそれを悲しみ、周囲に当たり散らしている。けど、私はそういう気分じゃなかった。固いパンでも、食べられるだけマシだ。こうなった場合、そう思うのが正しいのだから。
私、エリカ・アシュフィールドはこのウィリス王国の王都貴族アシュフィールド侯爵家の次女だった。しかし、ほんの少し前に実家は没落。その理由は、辺境の有力貴族の怒りを買ったから。王都貴族と辺境貴族だと、辺境貴族の方に権力がある。さらに言えば、実家は元々落ちぶれていた。だから、容易く潰されてしまった。
「……お義姉様」
パンを食べながら、そんな言葉を呟く。私が虐げてきたお義姉様。そんなお義姉様は、きっと今頃ふわふわのパンを食べて、お姫様のような生活をしているのだろう。彼女は辺境の有力貴族リスター伯爵に見初められ、そのまま婚約された。……元々は厄介払いのような婚約だったけれど、お二人はきっと幸せなのだろう。……前に一度見た時は、少なくとも幸せそうだった。……十五歳の年齢差を、感じさせないくらいには。
「……きっと、幸せなのよね。お姫様みたいな生活をして、周りにちやほやされて」
私とは、真逆だ。私はギャンブルとお酒に溺れたお父様と、別の男性の元に通っているお母様の帰りを孤独に待つだけの娘。でも、一人の方がずっと気楽。だって、不機嫌なお父様とお母様のお顔を見ないで済むから。
実家が没落後、お父様はお酒とギャンブルに溺れた。自分は侯爵だったのだと周囲に威張り散らしていたため、近所からの評判もとても悪い。お母様はお金持ちの別の男性を見つけ、その男性の元に足しげく通っている。きっと、もう一度お金持ちに返り咲こうとしているのだろう。……そうじゃないと、娘を六十を過ぎた好色の男性の元に嫁がせようとはしない。
「私も、お義姉様みたいに幸せな結婚がしたいなぁ」
そう思っても、無理なことは分かっている。それに、これが私に与えられた罰なのだろう。何の罪もないお義姉様を虐げたという、罪に対する罰。だから、私が嘆く権利はない。……お義姉様は、これよりもずっと辛かったのだから。
「……会いたい。一言だけ、謝りたい」
それは結局自己満足でしかない。分かっている。分かっていても――どうしても、お義姉様に一言「ごめんなさい」と言いたかった。でも、一歩が踏み出せない。お義姉様はきっと、私のことを嫌っているから。顔なんて、見たくもないだろうから。