【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「ギルバート様。私、エリカの様子を見てきます」
「……俺も、部屋の近くまでは行こう」

 私の言葉を聞いて、ギルバート様はそう言ってくださる。それから、ギルバート様の手が私の手首を優しく掴んだ。……手を、繋いでくださるの? そう思って私がギルバート様のお顔を見上げれば、ギルバート様は視線を逸らされるだけ。……やっぱり、無理なのかな。

(ううん、今はそれよりもエリカのことよ。……あの子、きっと無理ばっかりしたんだわ)

 そう思い直して、私はエリカが使っている客間へと向かうために足を踏み出した。もちろん、ギルバート様と一緒に。そもそも、ギルバート様は私の手首を掴んでいらっしゃるため、一緒に移動するしかない。

「……なぁ、シェリル」
「どうか、なさいましたか?」

 不意に声をかけられて、私はそう問いかけた。そうすれば、ギルバート様は「……俺は、エリカ嬢のことを、やっぱり好きにはなれない」とおっしゃる。

「……でもな、分かったこともあるんだ。……エリカ嬢は、本当にシェリルのことを傷つけるつもりは、なさそうだな」

 そうおっしゃったギルバート様の声音は、とてもお優しくて。私は、静かに頷いた。あの子は、両親から認められるために私を虐げていた。私よりも上だと示さなければ、あの子には存在意義さえもなかった。

「……私、エリカともう一度仲の良い姉妹になりたい、です。……だから、あの子には生きていてほしい」

 ゆっくりとそんな言葉を紡げば、ギルバート様は「……それでこそ、シェリルだな」と言ってくださった。そのため、私はゆっくりと笑みを浮かべる。……そう言っていただけたのが、素直に嬉しかったから。
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