【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「……エリカは、大丈夫?」

 だから、私は扉を開けてそう問いかける。そうすれば、マリンは「……今は、眠っていらっしゃいますよ」と少し表情を緩めながら言ってくれた。マリンは、どうやらそこそこエリカと打ち解けた様子だった。甲斐甲斐しく世話を焼いているみたいだし、やっぱりマリンをつけて正解だったと思う。

「……エリカ」

 私はエリカの眠る寝台の横にある椅子に腰かけて、エリカのふわふわとした髪を撫でる。あんなにも長かった髪は、今ではバッサリと切られている。エリカは髪の毛を大切にしていた。だから、少し意外だった。

「大丈夫よ。ここにいるうちは、私が何があっても守るから」

 エリカの髪の毛を撫でながら私がそう呟けば、エリカはゆっくりと瞼を開いた。それに気が付いて、私は「ごめんね」と静かに謝る。……起こしちゃったものね。

「……ううん」

 私の謝罪の言葉を聞いて、エリカは首を横に振る。その後、毛布の中から手を出して、私の手に重ねてきた。そして、彼女はふわりと笑う。

「お義姉様の手、優しい……」

 エリカの零したその言葉は、本当にそう思っているようだった。そのため、私もふんわりと笑う。エリカにとって、これが少しでも癒しになっていたら。そう、思えた。

「エリカ。……もう、一人じゃないからね」

 そんなエリカを見て、私はそんな言葉を彼女に告げる。ずっと孤独だったエリカ。そんな彼女を、守ってあげなくては。そう思ったのもあるし、お父様やお義母様に任せておけないと思ったのもある。だって、この子はこんなにも傷ついて弱っているのだから。

「うん。……お義姉様、ありがとう」

 エリカはそれだけを呟いて、もう一度瞼を閉じた。……ただ、その手は私の手を放すまいとぎゅっと握っていて。そのため、私はもう少しここにいることにした。エリカの安らぎに、なることが出来たらいいのだけれど。
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