【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
 それからしばらくして。私がエリカの髪を撫でていると、不意にマリンが困ったような表情を浮かべて「……あの、シェリル様」と声をかけてきた。それに私が返事をすれば、マリンは「……あの、大変申し上げにくいのですが……」と眉を下げて言う。なにか、あったのかしら?

「……続けて」
「エリカ様に……その、またお手紙が届いておりまして……」

 マリンはそう言って、私に一通のお手紙を見せてくれた。そのお手紙を受け取ってひっくり返せば、「愛しのエリカへ」と宛名が書いてある。……これ、エリカのストーカーからのものね。

(……というか、この字の癖……)

 なんだろうか。何処かで、見たことがあるような気がする。私はそんなことを思いながら、「ごめんね」とだけ謝って、エリカから手を離してお手紙の封を開けていく。

 あまり、人様に宛てられたお手紙を開けるのはよくない。それでも、エリカは読みたくないだろうし……。それに、これが何かの証拠になるかもしれないし。

 そう思いながら、私はお手紙の封を開けて中の便箋に綴られた文字を視線で追う。そこには、相変わらずというべきなのかエリカへの愛の言葉が綴られていて。しかも、最後には「キミを貴族に戻してあげるよ」なんて言葉も、綴られていた。

(貴族、か。っていうことは、このお手紙の差出人は貴族なのね)

 多分、そういうことなのだろうな。そんなことを考えながら、私は便箋を封筒にしまい込む。でも、封筒の中にまだ何かが入っているような感覚がして、私は封筒をひっくり返してみた。

「……なによ、これ」

 封筒の中から零れたものに、私はそんな声を上げることしか出来なかった。だって、封筒の中に入っていた紙にはエリカの姿がたくさん描かれていたのだから。それも、幼少期の姿も。
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