【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「……私が、エリカのことをなんとしてでも守るわ。ギルバート様だって、サイラスさんだって、きっと分かってくださる」

 ギルバート様もサイラスさんも、エリカにあまり好意的ではない。それでも、少しずつその態度も軟化していると思う。少なくとも、ギルバート様はそうだ。……サイラスさんは、王都貴族を嫌っているのでもう少し時間がかかるかもだけれど。

「マリン。私、もうそろそろ行くわね。……次の予定が、あるのよ」
「……かしこまりました」

 私のスケジュールは基本的には大雑把だけれど、一部のところのみ分刻みになっている。このリスター伯爵家の当主夫人に相応しいように。ギルバート様の妻に相応しいように。私はたくさんの教育を受けなくてはならない。それを全て、こなさなければならない。

「エリカ。また来るからね。今は、ゆっくりとおやすみなさい」

 エリカの頭を軽く撫でて、私は客間を出て行った。もちろん、後ろにはクレアがついて来てくれている。クレアは、いろいろと考えているみたいで。……エリカのことを、少しでも認めてくれるといいのだけれど。

「ねぇ、クレア」
「……あ、どうか、なさいましたか?」

 私がクレアに声をかけると、クレアはハッとしたように顔を上げる。そういうこともあり、私は「……ううん、呼んでみただけよ」と言葉を返す。そう、呼んでみただけ。ただ、それだけ。

(そう言えば、もうすぐギルバート様は視察に向かうとおっしゃっていたわね……)

 そう言えば。そんなことを思い出して、私は天井を見上げる。……私も、視察について行きたい。ふと、そんなことを思った。
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