【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「あ、あの、ギルバート様……?」
「どうした?」

 私がギルバート様に声をかけると、ギルバート様は私のことを柔らかい視線で見つめてくださって。だから、余計に「好き」という気持ちが爆発しそうになって。私は視線を彷徨わせながら、「……私も、その」と手をぎゅっと握りしめながら言葉を発しようとする。

「……シェリル?」

 やっぱり、図々しいわよね。そう思い直して、私が「や、やっぱり、何でもない……です」と視線を下に向けて告げれば、ギルバート様は「なんでもないわけ、ないだろ」とおっしゃった。

「何か、あるのか? シェリルの頼みだったら、何でもかなえて――」
「――鈍い!」

 不意に、ギルバート様の頭の上から降ってくるそんな声。その声は、サイラスさんのもので。サイラスさんは額を押さえながら「旦那様、鈍いです!」と言いながらびしっとギルバート様を指さす。……鈍いのには、その、同意だけれど……。

(そんなはっきりと、言わないで……!)

 はっきりと言われたら、私が恥ずかしいから……! そういう意味を込めてサイラスさんを見つめるのだけれど、サイラスさんはギルバート様に「バカですか!?」と言うのに必死の様で。私のことなど、気にも留めてくれない。

「何がだ!」
「シェリル様は、視察について行きたいのですよ」
「……そうだとしても……」
「未来の奥様としてとても頼もしいではありませんか。シェリル様は熱心ですし、領地のこともある程度覚えていらっしゃいますよ」

 サイラスさんのその言葉を聞いて、ギルバート様は「そうなのか?」と私に視線を向けて問いかけてこられる。……鈍い。そう思いながらも、私はこくんと首を縦に振った。……実際、ついて行きたいことに間違いはない。私の力も、活かせるかもしれないし。
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