【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「……ありがとう、ございます」

 でも、今回はそのおかげで視察について行くことが出来るのだ。だから、今は感謝をするべき。そういう意味を込めて私が笑みを浮かべれば、ギルバート様は露骨に視線を逸らしてしまわれた。照れていらっしゃるの、のよね?

「……シェリルが、可愛すぎる」

 ボソッと呟かれたお言葉に関しては、聞こえていないフリをすることにした。それがきっと、ギルバート様にとって最善だから。

 そんなことを思っていれば、サイラスさんが「そうと決まったら、支度をしませんと!」と言って張り切り始めた。そんな、視察なのだから張り切る必要などないと思うのだけれど……。

「おい、サイラス。張り切る必要などないだろう」

 どうやら、ギルバート様も私と同じことを思われていたらしい。サイラスさんにそうツッコんでいらっしゃった。

 そのギルバート様のお言葉に私が心の中で同意していれば、サイラスさんは「そうもいきません!」と言いながら胸を張っていて。

「この際、このお方がリスター伯爵家の未来の奥様だと領民に発表しましょう。……貴族たちへの発表はしておりますが、まだまだ領民たちにはお顔が知られておりませんので……」
「……それは」

 サイラスさんの提案に、ギルバート様が少しだけ微妙な声を上げられた。……私は、サイラスさんの言葉を嬉しいと思ったけれど、どうやらギルバート様は違うらしい。……私のことを発表するの、嫌なのかしら? そう思ったけれど、そんなわけはないと自分に言い聞かせた。そもそも、それは私の被害妄想でしかないのだ。私の思考回路がネガティブ寄りなだけだもの。
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