ハイスぺ年下救命医は強がりママを一途に追いかけ手放さない
ある日曜日、私は真優紀を抱いて都心部に出かけていた。和馬の忘れ物を届けに、マンション近くで会う約束をしていた。先日、夜勤明けに我が家にやってきた和馬は、真優紀をお風呂に入れてくれたときにスマートウォッチを外して、洗面所に置いて帰ってしまったのだ。
仕事で使うはずなので、いつまでもうちにあったら不都合だろうと、真優紀と散歩を兼ねて出てきた。

「月子、真優紀、わざわざありがとう」
「別に大丈夫」

マンション近くの小さな公園で待ち合わせた。真優紀がけほけほと咳をし、和馬が抱っこ紐の中を覗き込む。

「真優紀、風邪かな?」
「昨日の夜くらいから少し出てるの。このくらいだと自然に治っちゃうこともあるから、様子を見てるところ」

私の返事に和馬が困ったように片眉を下げる。

「そんな日に外に出てきちゃ駄目だよ。よければ送るから、車に乗って」
「和馬の車、チャイルドシートがないから駄目よ」

断ると、和馬がふふっと笑った。何か企んでいる顔だ。

「実は設置してあるんだ」
「買ったの!?」
「違う。先輩の家で使っていたもので、不要になったって聞いて借りたんだ。わざわざ買うと月子が気にするからね。俺も考えただろう」
「そんなことで威張っても駄目」

和馬の言葉に甘えることにしたのは、軽い咳を甘く見て真優紀を連れ出してしまった後悔と、そのせいで短時間しか和馬と真優紀を会わせてあげられない反省からだ。真優紀が万全なら、この後カフェでランチでもと思っていた。今日は和馬に家まで送ってもらおう。
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