娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
そう願いを込めて彼の右手に自分の左手を重ねる。

「これが、シャルの帰ってくるべき“日常”だからね」

重ねた手をきゅ、と握り返されたと思ったら小さく手を引かれた。
不思議に思いそっと横を見上げると彼との距離はゼロだった。


「んっ」

ちゅ、と軽く掠めるようにキスされる。
直ぐに離れたシャルはそのままくすくす笑っていて。

「····なっ、ここっ、外なのよ!?」
「別に誰も見てないって。それにこれくらいの御褒美貰ってもいい気がする」

なんて笑うシャルの顔がとても穏やかだったので、怒る気なんかすぐに失せてしまって。


「またここに帰ってきてくれる?」
「リリスのとこに戻ってくるよ」

そして再びシャルの顔が近付いてきて·····


「おや、英雄の兄ちゃん明日も来るのかい?だったら手伝っ·····」
「明日はちょっと用事があって!!」

いい雰囲気を邪魔されたから、というよりこれ以上邪魔されたくないとでも言うように荷物を抱え慌てて立ち上がるシャル。
そのまま手を引かれ小走りでその場を離れた。



「ま、まぁこういう日常も悪くない、わよね?」
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