娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
「というか、今の代の英雄って貴族だろ?猫探しとか手伝ってくれるんだな···」


なんて声が聞こえて私は大いに満足した。


「あの、英雄様、ウチはパン屋なんですが今日売り子が一人急遽休みになってしまって」
「こっちは今日仕入れた野菜が大量にあるのに旦那がぎっくり腰になっちまって···」
「実はウチの店も····」

「全て英雄・シャルに任せなさい!」
「ちょ···っ」



その後も依頼されるがまま走り回った私とシャルは、日が暮れる頃にはすっかりヘトヘトになっていた。

「······なんでだろ、戦闘に出た後より100倍疲れてる···」
「流石に私ももう限界····」

夕焼けの中、二人して噴水の縁に腰掛けぐったりする。
私とシャルの周りにはお礼として貰ったパンや野菜が沢山積み上げられていて。

「···でも、楽しかったわ」
「ま、新鮮ではあったよな」

互いに顔を見合せ小さく笑い合った。


「壊すこと以外も沢山出来たでしょ?」

そっと囁くようにそう聞くと、エメラルドの瞳を一瞬見開いたシャルがふっと顔を綻ばす。

「····そうかもしれないな」

これから何があっても忘れないで。
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