娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
今この場にシャルがいないのは、事務処理的な事だけだからかと思ったがそれもなんだか引っ掛かる。
その違和感が、言い知れぬ不安を呼び心臓が早鐘を打った。


「もう、行っちまったよ」
「行ったって、どこに?」
「それは私には言わなかったがね、リリス、あんたに伝言だ」
「伝言···?」

どうしてだろう。
幸せな事があるはずなのに、幸せな未来があるはずなのに。
何故か聞きたくなくて、無性に耳を塞ぎたくなった。

だけど聞かなければいけない気がして、俯きそうになるのを堪え必死に女将の方を向く。
そして告げられた伝言は。


「今までありがとう、どうか自由に生きてくれ。だ、そうだ」
「·······は?」


ナンダソレ。
後頭部を殴られたような気がし、何一つ理解が出来ない。
ただ口をぽかんと開けるしか出来ない私の前に、女将が金貨の大量に入った袋を並べて差し出した。

「あんたを買い上げたお金とは別に、あんたに渡してくれってさ。好きなところで不自由せず十分に生きていけるようにって置いてったんだろうねぇ」
「置いてかれたのは····私じゃない·····」
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