大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
「あのね、翔陽くん?あなた、自分が何を言っているか、わかってるのかしら?」
私が、彼を見上げると、バカにしたように見下ろされた。
その態度にムッとしそうになり、どうにか耐える。
「当然です。ですから、この状態を、不貞の証拠として大叔父さんに伝えますが――よろしいですよね?」
彼は、その、母親に似たキレイな顔で、勝ち誇ったように言う。
「――……それで?」
私は、切れそうな血管を押さえながら、返した。
「は?――ですから」
「だから、何だって言ってるのよ!」
「――……何だと、って……だから、あなたと兄さんの結婚なんて……」
「いい加減にしなさい、この化石高校生!!!」
その叫びに、通行人がギョッとして、そそくさと通り過ぎ、隣の片桐さんは――爆笑した。
「……片桐さん」
「い、いや、ゴメン。……キミ、時々、ワードチョイスすごいよね」
「バカにしてらっしゃいます?」
「とんでもない」
「な、何ですか、それはっ……!」
私達のやり取りに無理矢理入ってきた翔陽くんを見やれば、先日のように、真っ赤になって怒っている。
「――とにかく、あなたは、兄さんにはふさわしくない!」
「じゃあ、どこがどう、ふさわしくないか言ってごらんなさい!言っとくけど、こちとら、そんな誹謗中傷、山のように受けてんのよ!」
一瞬怯んだ彼は、視線を逸らす。
けれど、開き直ったように、私に言った。
「調べさせてもらいましたが、あなたのせいで、兄さんは死にかけたんじゃないですか」
――それは。
瞬間、目の前に壁ができた。
「――片桐さん」
彼は、一歩進むと、翔陽くんの口を右手でふさぐ。
そして、顔を至近距離まで近づけて言った。
「いいかい、お坊ちゃん。人を傷つける言葉を理解できないような人間は、人の上に立つ資格なんて無いと思いなさい」
その低く昏い声音に、私は、固まった。
――これまでの片桐さんからは、想像もつかないくらいの――迫力。
翔陽くんは、完全に硬直していた。
片桐さんは、手を離すと、私を振り返る。
その表情は――いつものように、穏やかで。
「――帰ろうか、名木沢さん」
「……ハ……ハイ……」
その言葉に――何故か、泣きたくなった。
「……すみません……いろいろと……」
翔陽くんを置き去りに、マンションへと歩き出す。
私は、片桐さんを見上げ、謝った。
これで、万が一、彼に飛び火するような事になったら、申し訳ない。
けれど、彼は、私に微笑んで首を振った。
「気にしないで。――さすがに、アレは頭にきちゃったからさ」
「――……すみません」
正直、図星を指された感は否めない。
――江陽は、付き合う前、私との仲を誤解され、ヤツのストーカーに無理心中のように殺されかけたのだから。
翔陽くんは、ご両親から事情を聞いたのだろうか。
「……まあ、本人達の問題を、外野がアレコレ言うのは、筋違いだよね」
「……ハイ……」
あの時の怖さは――まだ、私の奥底でくすぶっている。
それを、無理矢理あらわにされたようで、動けなかった――。
私が、彼を見上げると、バカにしたように見下ろされた。
その態度にムッとしそうになり、どうにか耐える。
「当然です。ですから、この状態を、不貞の証拠として大叔父さんに伝えますが――よろしいですよね?」
彼は、その、母親に似たキレイな顔で、勝ち誇ったように言う。
「――……それで?」
私は、切れそうな血管を押さえながら、返した。
「は?――ですから」
「だから、何だって言ってるのよ!」
「――……何だと、って……だから、あなたと兄さんの結婚なんて……」
「いい加減にしなさい、この化石高校生!!!」
その叫びに、通行人がギョッとして、そそくさと通り過ぎ、隣の片桐さんは――爆笑した。
「……片桐さん」
「い、いや、ゴメン。……キミ、時々、ワードチョイスすごいよね」
「バカにしてらっしゃいます?」
「とんでもない」
「な、何ですか、それはっ……!」
私達のやり取りに無理矢理入ってきた翔陽くんを見やれば、先日のように、真っ赤になって怒っている。
「――とにかく、あなたは、兄さんにはふさわしくない!」
「じゃあ、どこがどう、ふさわしくないか言ってごらんなさい!言っとくけど、こちとら、そんな誹謗中傷、山のように受けてんのよ!」
一瞬怯んだ彼は、視線を逸らす。
けれど、開き直ったように、私に言った。
「調べさせてもらいましたが、あなたのせいで、兄さんは死にかけたんじゃないですか」
――それは。
瞬間、目の前に壁ができた。
「――片桐さん」
彼は、一歩進むと、翔陽くんの口を右手でふさぐ。
そして、顔を至近距離まで近づけて言った。
「いいかい、お坊ちゃん。人を傷つける言葉を理解できないような人間は、人の上に立つ資格なんて無いと思いなさい」
その低く昏い声音に、私は、固まった。
――これまでの片桐さんからは、想像もつかないくらいの――迫力。
翔陽くんは、完全に硬直していた。
片桐さんは、手を離すと、私を振り返る。
その表情は――いつものように、穏やかで。
「――帰ろうか、名木沢さん」
「……ハ……ハイ……」
その言葉に――何故か、泣きたくなった。
「……すみません……いろいろと……」
翔陽くんを置き去りに、マンションへと歩き出す。
私は、片桐さんを見上げ、謝った。
これで、万が一、彼に飛び火するような事になったら、申し訳ない。
けれど、彼は、私に微笑んで首を振った。
「気にしないで。――さすがに、アレは頭にきちゃったからさ」
「――……すみません」
正直、図星を指された感は否めない。
――江陽は、付き合う前、私との仲を誤解され、ヤツのストーカーに無理心中のように殺されかけたのだから。
翔陽くんは、ご両親から事情を聞いたのだろうか。
「……まあ、本人達の問題を、外野がアレコレ言うのは、筋違いだよね」
「……ハイ……」
あの時の怖さは――まだ、私の奥底でくすぶっている。
それを、無理矢理あらわにされたようで、動けなかった――。