大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
9.私が、守らなくては
――明日、どうするの?
そう、江陽へメッセージを送って二時間。
いろいろ済ませ、後は寝るだけとなっても、返事は無かった。
いつも、こちらがギョッとする程の速さで返信してくるので、違和感がある。
――何かあった?
私は、そこまで文字を打ち、手を止める。
もしかしたら、仕事の関係かもしれないし――家族の中で、いろいろあるのかもしれない。
アイツも、アレで、何かと忙しい身。
実家に戻ってから、母親である亜澄さんに、頻繁に用事を言いつけられたり、三ノ宮社長に会合に付き合わされたりという事もあるらしい。
けれど、これまで疎遠になっていた父親との距離を、少しでもつめられたら良い。
そう思い、私は、スマホの画面を閉じると、ベッドに潜り込んだ。
翌朝、起き抜けにスマホを確認するが、メッセージも着信も無い。
さすがに不審に思うが、ひとまず、朝のルーティンは終わらせたい。
こういう時――”婚約者”なら、何を置いても連絡するものなのだろう。
――……けれど、私にそれはできないのだ。
まず、やらなければならない事を終わらせないと――そう、思ってしまうのだ。
それは、元々の性質だったり、これまで生活してきた中での経験則だったりするのだけれど。
江陽には、そういうものを理解してもらわなければ、結婚はできないだろう。
――すり合わせるべきは――私か、アイツか。
そこまで考え、ため息をつく。
――……このままの状態というのは……やっぱり、ダメ、なのよね……。
別居婚、とでもいうのか。
お互いの生活を束縛しないものなら――それでも良いような気もする。
「……結婚って、何なんだろう……」
再びため息をつくと、私は、持っていた洗濯物をハンガーにかけた。
ようやく一通り終了するが、やはり、その間も江陽からの連絡は無い。
私は、ヤツへメッセージを送ってみるが、何の反応も返って来ないので、電話をかける。
三、四――五コール目。スマホの向こう側から気配を感じ、私は、口を開こうとした。
――が。
『おはようございます、羽津紀さん。兄さんなら、いませんよ』
電話に出たのは、江陽ではなく。
「し……翔陽、くん……?え、ああ、江陽、スマホ忘れているのかしら」
『いえ。お見合いの席には、必要無いので、僕が預かっているんですよ』
その言葉に、頭が一瞬で真っ白になった。
――……は??
――……今、何を言った……???
無言になった私に、彼は、勝ち誇ったように続けた。
『昨夜、大叔父さんから連絡がありまして。今朝早く、兄さんには、大叔父さんのところに向かってもらいましたよ』
「――……えっと……翔陽、くん?言っている意味が、わからないのだけれど……」
『ですから、兄さんは、今、お見合いの席に着いているんですよ。ウチと縁の深い議員先生のお孫さんが、お相手です』
徐々に、スマホを持っている手が震えてきた。
私は、それを隠すように、力を込める。
「……そう……」
『そうです。なので、さっさと諦めていただけますか。お見合いと言っても、実質、顔合わせのようなものです。父さんも母さんも、一緒なんですから』
グルグルと、翔陽くんの言葉が頭を回り続ける。
――じゃあ、私は?
そう叫びたかったけれど、その相手は、彼ではない。
いつの間にか切れていた電話。
自動的に、通話終了の画面が表示されているのを、視界に入れ――私は、その場にへたり込んだ。
そう、江陽へメッセージを送って二時間。
いろいろ済ませ、後は寝るだけとなっても、返事は無かった。
いつも、こちらがギョッとする程の速さで返信してくるので、違和感がある。
――何かあった?
私は、そこまで文字を打ち、手を止める。
もしかしたら、仕事の関係かもしれないし――家族の中で、いろいろあるのかもしれない。
アイツも、アレで、何かと忙しい身。
実家に戻ってから、母親である亜澄さんに、頻繁に用事を言いつけられたり、三ノ宮社長に会合に付き合わされたりという事もあるらしい。
けれど、これまで疎遠になっていた父親との距離を、少しでもつめられたら良い。
そう思い、私は、スマホの画面を閉じると、ベッドに潜り込んだ。
翌朝、起き抜けにスマホを確認するが、メッセージも着信も無い。
さすがに不審に思うが、ひとまず、朝のルーティンは終わらせたい。
こういう時――”婚約者”なら、何を置いても連絡するものなのだろう。
――……けれど、私にそれはできないのだ。
まず、やらなければならない事を終わらせないと――そう、思ってしまうのだ。
それは、元々の性質だったり、これまで生活してきた中での経験則だったりするのだけれど。
江陽には、そういうものを理解してもらわなければ、結婚はできないだろう。
――すり合わせるべきは――私か、アイツか。
そこまで考え、ため息をつく。
――……このままの状態というのは……やっぱり、ダメ、なのよね……。
別居婚、とでもいうのか。
お互いの生活を束縛しないものなら――それでも良いような気もする。
「……結婚って、何なんだろう……」
再びため息をつくと、私は、持っていた洗濯物をハンガーにかけた。
ようやく一通り終了するが、やはり、その間も江陽からの連絡は無い。
私は、ヤツへメッセージを送ってみるが、何の反応も返って来ないので、電話をかける。
三、四――五コール目。スマホの向こう側から気配を感じ、私は、口を開こうとした。
――が。
『おはようございます、羽津紀さん。兄さんなら、いませんよ』
電話に出たのは、江陽ではなく。
「し……翔陽、くん……?え、ああ、江陽、スマホ忘れているのかしら」
『いえ。お見合いの席には、必要無いので、僕が預かっているんですよ』
その言葉に、頭が一瞬で真っ白になった。
――……は??
――……今、何を言った……???
無言になった私に、彼は、勝ち誇ったように続けた。
『昨夜、大叔父さんから連絡がありまして。今朝早く、兄さんには、大叔父さんのところに向かってもらいましたよ』
「――……えっと……翔陽、くん?言っている意味が、わからないのだけれど……」
『ですから、兄さんは、今、お見合いの席に着いているんですよ。ウチと縁の深い議員先生のお孫さんが、お相手です』
徐々に、スマホを持っている手が震えてきた。
私は、それを隠すように、力を込める。
「……そう……」
『そうです。なので、さっさと諦めていただけますか。お見合いと言っても、実質、顔合わせのようなものです。父さんも母さんも、一緒なんですから』
グルグルと、翔陽くんの言葉が頭を回り続ける。
――じゃあ、私は?
そう叫びたかったけれど、その相手は、彼ではない。
いつの間にか切れていた電話。
自動的に、通話終了の画面が表示されているのを、視界に入れ――私は、その場にへたり込んだ。