大嫌い同士の大恋愛     ー結婚狂騒曲ー
 わなわなと震えている大叔父さんをそのままに、私は、亜澄さんと三ノ宮社長に頭を下げた。
「――……申し訳ありません。……場をめちゃくちゃにしてしまいました……」
「そんなの気にしないで、羽津紀ちゃん」
 亜澄さんは、私の両肩を掴み、のぞき込む。
「大丈夫。私達は、あなたが江陽のお嫁さんだと思っているし――そのつもりよね?」
 その問いかけに、素直にうなづく。
「当たり前だろ。翔陽に言っておけよ、余計な真似するなって」
 江陽は、苦々しく言うと、手を繋いだまま、私を引き寄せる。

「オレは、羽津紀としか結婚しねぇ。――ウチと縁を切ってでもな」

「ちょっ……江陽!」

 すると、その宣言にあきれたように、三ノ宮社長は肩をすくめた。
「そんな、大げさにするものでもない。反対しているのは、叔父さんと、翔陽だけだろう」
「――そ、そう、なんですか……?」
 てっきり、他の親族もそうだと思っていたが。
「というか、後は、叔父さんに従うばかりで、何も考えていないヤツ等だけだし、キミは気にしないで良い」
 そう言われ、私は、目を丸くする。
 ――まさか、この人が、そんな言い方をするとは。
 きっと、亜澄さんとの結婚にも、そんな感じだったのだろう。
「……ありがとうございます」
「じゃあ、オレ達は、このまま帰るから」
「ハイハイ」
 あきれたようにうなづかれ、気恥ずかしくなる。
 身を縮こませながら、二人に頭を下げると、亜澄さんが手をポンと叩いた。

「ちょうど良いわ!何なら、このまま、ウチにいらっしゃったら⁉」

「……は??」

「母さん⁉」

 ギョッとした私と江陽に、彼女は、名案、とばかりに三ノ宮社長を見上げる。
「あなたも、今日、午前中は、お仕事お休みなんでしょう?せっかくだし――ね?」
 おねだりする亜澄さんは、母親と同じような歳だろうに、何でこんなに可愛いのか。
 私には――一生かかっても、真似できないだろう。
 三ノ宮社長は、若干、デレを見せながらも、渋々、と言った空気を出しながらうなづく。
「ま、まあ……この際だ。式の日取りなど、早目に決めておくのも手だろう。名木沢さんには申し訳ないが――何ぶん、私のスケジュールがキツいものでね」

 あれよあれよという間に決定され――一時間後、私は、江陽の実家の前に立っていたのだった――。
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