大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
11.結婚しなきゃ、ずっと、一緒にいられないの……?
昼食を終えると、江陽は、何に頭を悩ませていているのか、固まったまま。
私は、自分のコーヒーカップを置くと、ヤツに、持っていたカップを下ろさせ、眉を寄せた。
「……ちょっと……コーヒー持ちながら、考え込まないでよ」
「――あ、悪ぃ」
素直に、それをテーブルに置いたヤツは、私に視線を向ける。
「いや……普通、結婚って、何を準備するモンなのかと思ってよ」
「――……は?」
――また、唐突にコイツは。
私は、あきれ半分に江陽を見やる。
「だから……」
「いや、一般的に、だぞ。周りに結婚しているヤツなんて、先輩社員くらいしかいねぇし、情報誌とかサイトとかじゃ……」
「え?」
私の反応に、ヤツは、慌てて手で口を塞いだ。
そして、気まずそうに、私から視線を逸らす。
「……あ、いや……」
「――……そういうの、見てるの、江陽?」
「――……っ……わ、悪いか」
ヤツは、バツが悪そうに返すと、少々開き直ったように続けた。
「……普通、舞い上がるだろうが。……ずっと、好きだった女と結婚するんだから……」
「――こっ……」
瞬間、身体中が茹ってしまう。
――……どうして、こういう事を平然と言うのだ、コイツは。
「……ま、まあ、そういうモン見ても、実感が薄いというか……やっぱり、お前と一緒に選びてぇんだよ」
「……そ、そう……」
もう、恥ずかしさに顔を上げられない。
けれど、そんな私を、江陽はのぞき込むと眉を下げた。
「……悪い。嫌、だったか……?」
「ち、違うわよ。――……は、恥ずかしいだけ……」
「そうか」
そう返せば、ヤツは、体勢を戻し、コーヒーを口にする。
私も、取り繕うように、手元にあった自分のものを口にした。
「でもな……だんだん混乱してきちまって」
「え?」
「詳しく解説、とかあるけどよ……指輪だろ。結納?顔合わせ?それから、式場決めたり、式の段取り、招待客に、あと、届け出とかも……」
江陽は、指を折りながら、次々とタスクを上げる。
私は、慌ててヤツを止めた。
「ち、ちょっと、待ってよ、江陽。……一気に言わないで、私も混乱しそう」
「だろ。――だから、ひとまず、指輪だけでも贈らせろよ」
「――え、あ……その……」
先日行った、ジュエリーショップで見た値札を思い出し、口ごもる。
あんなお金、一体、どこから出すっていうのよ。
「羽津紀」
けれど、そんな考えはお見通しなのか、江陽は、眉を寄せた。
「あのなぁ……金のコトはいいから」
「で、でも……」
「――大体、指輪が無いと、お前が、オレのモンだってわからねぇだろうが」
「――……そっ……」
そんなもの、無くたって――。
そう言いかけて、ここが、ファミレス――公共の場だという事を思い出し、言葉を止めた。
――危ない、危ない。
――……私も、コイツに毒されていない?
「おい、羽津紀?」
さすがに不自然すぎ、江陽が眉を寄せた。
私は、ごまかすように立ち上がる。
「……出ましょう。――込み入った話は、二人きりでの方が良いわ」
「――あ、ああ」
そして、私達は、会計を済ませ、日曜日の込み合っているファミレスを後にした。
私は、自分のコーヒーカップを置くと、ヤツに、持っていたカップを下ろさせ、眉を寄せた。
「……ちょっと……コーヒー持ちながら、考え込まないでよ」
「――あ、悪ぃ」
素直に、それをテーブルに置いたヤツは、私に視線を向ける。
「いや……普通、結婚って、何を準備するモンなのかと思ってよ」
「――……は?」
――また、唐突にコイツは。
私は、あきれ半分に江陽を見やる。
「だから……」
「いや、一般的に、だぞ。周りに結婚しているヤツなんて、先輩社員くらいしかいねぇし、情報誌とかサイトとかじゃ……」
「え?」
私の反応に、ヤツは、慌てて手で口を塞いだ。
そして、気まずそうに、私から視線を逸らす。
「……あ、いや……」
「――……そういうの、見てるの、江陽?」
「――……っ……わ、悪いか」
ヤツは、バツが悪そうに返すと、少々開き直ったように続けた。
「……普通、舞い上がるだろうが。……ずっと、好きだった女と結婚するんだから……」
「――こっ……」
瞬間、身体中が茹ってしまう。
――……どうして、こういう事を平然と言うのだ、コイツは。
「……ま、まあ、そういうモン見ても、実感が薄いというか……やっぱり、お前と一緒に選びてぇんだよ」
「……そ、そう……」
もう、恥ずかしさに顔を上げられない。
けれど、そんな私を、江陽はのぞき込むと眉を下げた。
「……悪い。嫌、だったか……?」
「ち、違うわよ。――……は、恥ずかしいだけ……」
「そうか」
そう返せば、ヤツは、体勢を戻し、コーヒーを口にする。
私も、取り繕うように、手元にあった自分のものを口にした。
「でもな……だんだん混乱してきちまって」
「え?」
「詳しく解説、とかあるけどよ……指輪だろ。結納?顔合わせ?それから、式場決めたり、式の段取り、招待客に、あと、届け出とかも……」
江陽は、指を折りながら、次々とタスクを上げる。
私は、慌ててヤツを止めた。
「ち、ちょっと、待ってよ、江陽。……一気に言わないで、私も混乱しそう」
「だろ。――だから、ひとまず、指輪だけでも贈らせろよ」
「――え、あ……その……」
先日行った、ジュエリーショップで見た値札を思い出し、口ごもる。
あんなお金、一体、どこから出すっていうのよ。
「羽津紀」
けれど、そんな考えはお見通しなのか、江陽は、眉を寄せた。
「あのなぁ……金のコトはいいから」
「で、でも……」
「――大体、指輪が無いと、お前が、オレのモンだってわからねぇだろうが」
「――……そっ……」
そんなもの、無くたって――。
そう言いかけて、ここが、ファミレス――公共の場だという事を思い出し、言葉を止めた。
――危ない、危ない。
――……私も、コイツに毒されていない?
「おい、羽津紀?」
さすがに不自然すぎ、江陽が眉を寄せた。
私は、ごまかすように立ち上がる。
「……出ましょう。――込み入った話は、二人きりでの方が良いわ」
「――あ、ああ」
そして、私達は、会計を済ませ、日曜日の込み合っているファミレスを後にした。