大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
その後、結婚の話題には触れないよう、他愛無い話を続けながら、江陽は車を走らせ、マンションまで私を送ってくれた。
「じゃあ、また明日な」
「――ええ。……ありがとう、気をつけてね」
車を降りて、そう告げれば、ヤツは片手を上げて返し、そのまま帰って行った。
私は、それを見送ると、中に入る。
――何も変わらない日常。
そこに、江陽が加わったのは、二年も前。
いつの間にか、それが、日常と感じる程には、ヤツと一緒にいたのだ。
――なのに……。
「あ、お帰りー、羽津紀ー!」
エレベーターを降りて部屋に向かう途中、聖の部屋のドアが開く。
彼女は、いつものように、見惚れるような笑顔で迎えてくれた。
「――ただいま、聖」
そんな聖に、どこかホッとして、私も笑顔で返した――つもりだったのだが。
彼女は、その、形の良い眉を思い切り寄せた。
「聖?」
「――何か、あった?……羽津紀、落ち込んでるみたいだけど……」
「――……っ……」
何で、この娘は、こういう事に聡いんだろう。
聖は、私をのぞき込むと、表情を曇らせる。
「……また、江陽クン、何かしたの?」
「……そういう訳じゃない、けど……」
――何かしたのは、ヤツの身内だ。
そう返せず、私は、緩々と首を振る。
「大丈夫よ、聖。……ただ、ちょっと、自己嫌悪……みたいなもの」
そして、笑みを張り付けて返し、部屋の鍵を差し込む。
だが、その手は、彼女に止められた。
「聖?」
「――飲みに行こう、羽津紀!」
「え」
「悩んでいるなら、聞くよ?――何なら、楠川クンも呼ぼうか?」
そう言って、聖は、自分の部屋の中に入る。
「ち、ちょっと、聖⁉」
慌てる私をよそに、あっという間に返信が来たようで、ニコニコとスマホを持って、彼女は戻って来た。
「楠川クン、大丈夫だってー。”縁故”で良い?」
「聖」
「こういう時の、親友でしょー?」
彼女は、ニッコリと、笑ってみせる。
私は、苦笑いでうなづいた。
「……もう……しょうがないわね……」
まるで、聖のわがままを仕方なく聞いているようだが――それは、私のためなのだ。
私は、一旦部屋に戻り、荷物を置くと、軽く身支度を整えて部屋を出た。
「じゃあ、また明日な」
「――ええ。……ありがとう、気をつけてね」
車を降りて、そう告げれば、ヤツは片手を上げて返し、そのまま帰って行った。
私は、それを見送ると、中に入る。
――何も変わらない日常。
そこに、江陽が加わったのは、二年も前。
いつの間にか、それが、日常と感じる程には、ヤツと一緒にいたのだ。
――なのに……。
「あ、お帰りー、羽津紀ー!」
エレベーターを降りて部屋に向かう途中、聖の部屋のドアが開く。
彼女は、いつものように、見惚れるような笑顔で迎えてくれた。
「――ただいま、聖」
そんな聖に、どこかホッとして、私も笑顔で返した――つもりだったのだが。
彼女は、その、形の良い眉を思い切り寄せた。
「聖?」
「――何か、あった?……羽津紀、落ち込んでるみたいだけど……」
「――……っ……」
何で、この娘は、こういう事に聡いんだろう。
聖は、私をのぞき込むと、表情を曇らせる。
「……また、江陽クン、何かしたの?」
「……そういう訳じゃない、けど……」
――何かしたのは、ヤツの身内だ。
そう返せず、私は、緩々と首を振る。
「大丈夫よ、聖。……ただ、ちょっと、自己嫌悪……みたいなもの」
そして、笑みを張り付けて返し、部屋の鍵を差し込む。
だが、その手は、彼女に止められた。
「聖?」
「――飲みに行こう、羽津紀!」
「え」
「悩んでいるなら、聞くよ?――何なら、楠川クンも呼ぼうか?」
そう言って、聖は、自分の部屋の中に入る。
「ち、ちょっと、聖⁉」
慌てる私をよそに、あっという間に返信が来たようで、ニコニコとスマホを持って、彼女は戻って来た。
「楠川クン、大丈夫だってー。”縁故”で良い?」
「聖」
「こういう時の、親友でしょー?」
彼女は、ニッコリと、笑ってみせる。
私は、苦笑いでうなづいた。
「……もう……しょうがないわね……」
まるで、聖のわがままを仕方なく聞いているようだが――それは、私のためなのだ。
私は、一旦部屋に戻り、荷物を置くと、軽く身支度を整えて部屋を出た。