大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
それから十五分ほどで、いつもの居酒屋――縁故に到着した私達だが、聖が、珍しく個室を指定した。
今日は、通常通りの営業だが、いよいよ、夏真っ盛り。
自然、夏忘れなどの集まりも増えてくるので、徐々に混雑もしてくるし、騒々しくなるのは目に見えているのだ。
私達は、奥にある個室の一室に入ると、おしぼりとお冷を受け取る。
聖は、後で連れが来ると告げ、
「ひとまず、から揚げと限定メニュー頼んでおくねー」
そう言って、先にアルコール類と食事メニューを注文した。
ようやく一息ついた私は、とりあえず、お冷を口にする。
どうやら、随分乾いていたようで、すうっ、と、喉を潤してくれた。
「――それで、どうしちゃったの?」
隣合わせに座った聖は、目の前のメニュー表を横に置き、私をのぞき込む。
「……どう、というか……ちょっと……面倒な事になったというか……」
私は、話せる範囲で、昨日今日の事を聖に伝える。
ヤツの大叔父の話の時には、彼女は、思い切り顔をしかめて憤った。
「何、何、それー!時代錯誤も良いトコじゃないー!」
「――と、思うんだけど……あの人には、それが普通で、正しい事なんでしょう」
「意味わかんない!それに、結婚するのは、羽津紀と江陽クンであって、家同士じゃないでしょ⁉」
徐々に、ヒートアップしそうな聖を抑えようとすると、失礼します、と、扉が開く。
そして、注文した第一陣がやって来て、彼女の機嫌はすぐに直った。
「わー!羽津紀、限定メニュー、美味しそうだよー!」
「ええ、そうね」
夏限定のシーフードマリネと、辛めのチキン、冷製パスタの三点盛り。
私達は、一緒にやってきたアルコールで乾杯すると、ひとまず、目の前の料理に手をつけ始めた。
「遅くなったかな。――こんばんは、久し振りです、羽津紀さん」
「お、お久し振りです、楠川さん」
食事を始めて四十分ほど、一通りの料理があらかた消えた辺りで、楠川さんは、やって来た。
私は、久し振りに会う彼に、慌てて立ち上がると頭を下げる。
「いや、そんなに堅苦しくなくても良いですよ。同い年なんですし」
「でも――」
「まあ、座りましょうよ」
「ハ、ハイ」
彼には、以前、江陽の行方を捜す時に、かなりお世話になったのだ。
それから、ヤツ経由で話は聞くが、彼自身に会うのは二年振りだ。
「聖ちゃん、何頼んだの?」
すると、彼は、目の前の空けていた席に座ると、聖に向けてそう尋ねた。
「んー、今ねぇ、限定メニューだよー」
「へえー。ココ、久し振りだからなぁ……。次、何にするの?」
「まだ悩んでるんだよー。一緒に頼む?」
「そうだね」
にこやかに続く会話に、目を丸くしてしまう。
江陽の友人とはいえ――そんなに親しかっただろうか。
聖は、驚いている私に、ニコリ、と、微笑む。
「えっとね、楠川クンとは、結構一緒にご飯行ったりしてるんだー」
「……え、は?つ……付き合ってるの……?」
思わずストレートに尋ねてしまったが、二人は、首を振る。
「違う、違う。――何て言うか……江陽と、羽津紀さんの進展報告というか……」
「……はぁ?」
「ゴメンー。でも、二人、いろいろあったじゃない。だから、何かあった時のために、報告会みたいなものなのー」
私は、チラリと楠川さんを見やる。
彼の表情は――何というか、複雑そうで……。
――もしかしたら、彼の片想い……?
そうじゃなければ、男女が二人きりで会うとは思えないのだけれど。
――まあ、こればっかりは、当人たちにしか、わからない事だ。
私は、それ以上は追及せず、当たり障りの無い会話を続けた。
今日は、通常通りの営業だが、いよいよ、夏真っ盛り。
自然、夏忘れなどの集まりも増えてくるので、徐々に混雑もしてくるし、騒々しくなるのは目に見えているのだ。
私達は、奥にある個室の一室に入ると、おしぼりとお冷を受け取る。
聖は、後で連れが来ると告げ、
「ひとまず、から揚げと限定メニュー頼んでおくねー」
そう言って、先にアルコール類と食事メニューを注文した。
ようやく一息ついた私は、とりあえず、お冷を口にする。
どうやら、随分乾いていたようで、すうっ、と、喉を潤してくれた。
「――それで、どうしちゃったの?」
隣合わせに座った聖は、目の前のメニュー表を横に置き、私をのぞき込む。
「……どう、というか……ちょっと……面倒な事になったというか……」
私は、話せる範囲で、昨日今日の事を聖に伝える。
ヤツの大叔父の話の時には、彼女は、思い切り顔をしかめて憤った。
「何、何、それー!時代錯誤も良いトコじゃないー!」
「――と、思うんだけど……あの人には、それが普通で、正しい事なんでしょう」
「意味わかんない!それに、結婚するのは、羽津紀と江陽クンであって、家同士じゃないでしょ⁉」
徐々に、ヒートアップしそうな聖を抑えようとすると、失礼します、と、扉が開く。
そして、注文した第一陣がやって来て、彼女の機嫌はすぐに直った。
「わー!羽津紀、限定メニュー、美味しそうだよー!」
「ええ、そうね」
夏限定のシーフードマリネと、辛めのチキン、冷製パスタの三点盛り。
私達は、一緒にやってきたアルコールで乾杯すると、ひとまず、目の前の料理に手をつけ始めた。
「遅くなったかな。――こんばんは、久し振りです、羽津紀さん」
「お、お久し振りです、楠川さん」
食事を始めて四十分ほど、一通りの料理があらかた消えた辺りで、楠川さんは、やって来た。
私は、久し振りに会う彼に、慌てて立ち上がると頭を下げる。
「いや、そんなに堅苦しくなくても良いですよ。同い年なんですし」
「でも――」
「まあ、座りましょうよ」
「ハ、ハイ」
彼には、以前、江陽の行方を捜す時に、かなりお世話になったのだ。
それから、ヤツ経由で話は聞くが、彼自身に会うのは二年振りだ。
「聖ちゃん、何頼んだの?」
すると、彼は、目の前の空けていた席に座ると、聖に向けてそう尋ねた。
「んー、今ねぇ、限定メニューだよー」
「へえー。ココ、久し振りだからなぁ……。次、何にするの?」
「まだ悩んでるんだよー。一緒に頼む?」
「そうだね」
にこやかに続く会話に、目を丸くしてしまう。
江陽の友人とはいえ――そんなに親しかっただろうか。
聖は、驚いている私に、ニコリ、と、微笑む。
「えっとね、楠川クンとは、結構一緒にご飯行ったりしてるんだー」
「……え、は?つ……付き合ってるの……?」
思わずストレートに尋ねてしまったが、二人は、首を振る。
「違う、違う。――何て言うか……江陽と、羽津紀さんの進展報告というか……」
「……はぁ?」
「ゴメンー。でも、二人、いろいろあったじゃない。だから、何かあった時のために、報告会みたいなものなのー」
私は、チラリと楠川さんを見やる。
彼の表情は――何というか、複雑そうで……。
――もしかしたら、彼の片想い……?
そうじゃなければ、男女が二人きりで会うとは思えないのだけれど。
――まあ、こればっかりは、当人たちにしか、わからない事だ。
私は、それ以上は追及せず、当たり障りの無い会話を続けた。