大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
それでも、カフェで聖と友人になった経緯を話せば、想真さんは、どこか安心したように微笑んだ。
「ありがとうございます。――聖は、昔からいろいろとありまして……同性の友人など、いた試しが無かったもので……」
「いえ――私の方こそ、聖には、助けてもらってばかりです」
そう返し、空になったカップに視線を向けた。
――これから、どうしようか。
気晴らしと言われても、考えられる場所など――おそらく、江陽と行ったところしか思い浮かばないのだ。
「――そろそろ、出ますか」
すると、想真さんは、私の分のカップも持ち、立ち上がる。
「あ、す、すみません」
「いえ、これくらいは、させてもらわないと」
「――ありがとうございます」
まさか、奪い取る訳にもいかないので、うなづいて返す。
そして、店員に見送られ、カフェを出ると、彼は私を見下ろした。
「そう言えば、同業者でしたよね」
「――え」
「商品企画」
「あ、え、ええ」
私がうなづくと、ニコリ、と、微笑まれた。
「――じゃあ、ちょっとだけ、見て回りませんか」
「――え」
駅前から、バスに乗り約二十分。
目的地は――郊外の大きな商業施設。
先に降りた想真さんに手を取られ、私は、バスからゆっくりと降り立つ。
一応、ヒールを履いて来ていたのが、裏目に出てしまった。
彼に手をつなぐ理由を与えてしまい、心の中で苦る。
「――ここって……」
「ハイ。春にリニューアルしたでしょう。それで、食品関係が、以前より充実してるようですよ」
「そうなんですか」
私はうなづくと、さりげなく手を離し、歩き出した。
想真さんは、気にするでもなく、隣を歩く。
「後は、輸入食品の店とか、専門店とか――勉強になるんじゃないかと」
「――あ」
その言葉に、今更ながらに気がつく。
江陽と付き合い始めてからは、完全に足が遠のいたけれど――以前は、私だってやっていた事だ。
想真さんは、口元を上げ、のぞき込んだ。
「一種の、同業者勉強会って事で――いかがです?」
「――ハイ」
仕事を絡められたら、断る理由など無いのだ。
私は、少しだけ、微笑んでうなづいた。
それから、商業施設の中をあちこち見て回り、昼食は、中に併設されていた中華料理店のコースを食べた。
意外と――いや、その体格からは当然なのか、想真さんは、結構な大食漢だった。
なのに、食べ方はキレイで、その料理一つ一つを観察しながら、中の調味料を考えながらと――見ている私も負けてはいられないと思うくらい。
「コレ、餡に何使ってると思います?」
「――そうですね……」
すくった小籠包を眺め、そして口に入れる。
「――……っ……!!!」
――そして、やはり、というか……その中のスープの熱さに硬直。
……一応、冷ましたはずなのに。
「だ、大丈夫ですか?」
慌てる想真さんに、口元を手で隠しながら、涙目でうなづく。
そして、どうにか落ち着くと、お冷で熱くなった口内を冷ました。
「す、すみません……油断してました……」
そう眉を下げ、彼を見やる。
だが、私を見たまま、微動だにしない。
「……あの……?」
「え、あ、いえっ……。――意外でした」
「え?」
「いや、もっと、しっかりした女性だと思っていたもので……」
私は、苦笑いで首を振る。
「これが、私です。――ご期待に沿えず、申し訳ありません」
「そんな事ありません。……むしろ、可愛いですよ」
「え」
想真さんは、そう言うと、ごまかすように食事を進める。
私は、少しだけ冷めた小籠包を、再び口にした。
それから――どこか、お互いに気を張っていたのが消えたのか、仕事に絡んでの話は、昼食後も、夕方まで尽きる事は無かった。
同業者との交流は、意外と面白いもの。
そこに、他の感情は必要無い。
――そう思ってしまうのは、私が、根本的には、恋愛に向いていないからなのかもしれない。
「ありがとうございます。――聖は、昔からいろいろとありまして……同性の友人など、いた試しが無かったもので……」
「いえ――私の方こそ、聖には、助けてもらってばかりです」
そう返し、空になったカップに視線を向けた。
――これから、どうしようか。
気晴らしと言われても、考えられる場所など――おそらく、江陽と行ったところしか思い浮かばないのだ。
「――そろそろ、出ますか」
すると、想真さんは、私の分のカップも持ち、立ち上がる。
「あ、す、すみません」
「いえ、これくらいは、させてもらわないと」
「――ありがとうございます」
まさか、奪い取る訳にもいかないので、うなづいて返す。
そして、店員に見送られ、カフェを出ると、彼は私を見下ろした。
「そう言えば、同業者でしたよね」
「――え」
「商品企画」
「あ、え、ええ」
私がうなづくと、ニコリ、と、微笑まれた。
「――じゃあ、ちょっとだけ、見て回りませんか」
「――え」
駅前から、バスに乗り約二十分。
目的地は――郊外の大きな商業施設。
先に降りた想真さんに手を取られ、私は、バスからゆっくりと降り立つ。
一応、ヒールを履いて来ていたのが、裏目に出てしまった。
彼に手をつなぐ理由を与えてしまい、心の中で苦る。
「――ここって……」
「ハイ。春にリニューアルしたでしょう。それで、食品関係が、以前より充実してるようですよ」
「そうなんですか」
私はうなづくと、さりげなく手を離し、歩き出した。
想真さんは、気にするでもなく、隣を歩く。
「後は、輸入食品の店とか、専門店とか――勉強になるんじゃないかと」
「――あ」
その言葉に、今更ながらに気がつく。
江陽と付き合い始めてからは、完全に足が遠のいたけれど――以前は、私だってやっていた事だ。
想真さんは、口元を上げ、のぞき込んだ。
「一種の、同業者勉強会って事で――いかがです?」
「――ハイ」
仕事を絡められたら、断る理由など無いのだ。
私は、少しだけ、微笑んでうなづいた。
それから、商業施設の中をあちこち見て回り、昼食は、中に併設されていた中華料理店のコースを食べた。
意外と――いや、その体格からは当然なのか、想真さんは、結構な大食漢だった。
なのに、食べ方はキレイで、その料理一つ一つを観察しながら、中の調味料を考えながらと――見ている私も負けてはいられないと思うくらい。
「コレ、餡に何使ってると思います?」
「――そうですね……」
すくった小籠包を眺め、そして口に入れる。
「――……っ……!!!」
――そして、やはり、というか……その中のスープの熱さに硬直。
……一応、冷ましたはずなのに。
「だ、大丈夫ですか?」
慌てる想真さんに、口元を手で隠しながら、涙目でうなづく。
そして、どうにか落ち着くと、お冷で熱くなった口内を冷ました。
「す、すみません……油断してました……」
そう眉を下げ、彼を見やる。
だが、私を見たまま、微動だにしない。
「……あの……?」
「え、あ、いえっ……。――意外でした」
「え?」
「いや、もっと、しっかりした女性だと思っていたもので……」
私は、苦笑いで首を振る。
「これが、私です。――ご期待に沿えず、申し訳ありません」
「そんな事ありません。……むしろ、可愛いですよ」
「え」
想真さんは、そう言うと、ごまかすように食事を進める。
私は、少しだけ冷めた小籠包を、再び口にした。
それから――どこか、お互いに気を張っていたのが消えたのか、仕事に絡んでの話は、昼食後も、夕方まで尽きる事は無かった。
同業者との交流は、意外と面白いもの。
そこに、他の感情は必要無い。
――そう思ってしまうのは、私が、根本的には、恋愛に向いていないからなのかもしれない。