大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
19.本当の事が、知りたい
月が代わり、先月末で締め切った社内コンペの審査が始まった。
通常業務と並行してなので、さすがに――全部で一五〇件はしんどい。
けれど、今は、余計な事を考えずに済むので、私にはありがたかった。
「名木沢さん、ひとまず、僕がキャンペーン関係の方を見るから、キミは商品企画の方を見てくれる?」
「ハイ」
片桐さんと、プリントアウトした応募書類を振り分け、少々気が滅入る。
私に充てられた商品企画書は、約一二〇件。
片桐さんの四倍近くだ。
けれど、彼の方は、キャンペーンという大がかりなものなので、時間もかかるだろう。
とりあえず、振り分けて、一件ずつ目を通していく。
それだけでも、かなりの時間がかかってしまった。
「おーい、お二人さん、今日のところは、終わりにしておかないかい」
すると、神屋課長からそう声をかけられ、部屋の時計を見やれば――もう、終業時刻はとっくに過ぎていて、八時半をさしている。
「すみません、時間がかかりまして」
片桐さんが、申し訳無さそうに課長に頭を下げるが、首を振って返された。
「まあ、仕方ないから。でも、あんまり初っ端から根詰めると、後に響くからな」
「ハイ」
課長は、席を立つと、お先に、と、私達の脇を通り過ぎ部屋を出て行った。
私は、片桐さんを見やり、眉を下げる。
「……コレ、相当時間かかります……?」
「うーん……まあ、僕の方が早かったら、そっちの方も手を付けるから」
「お願いします」
それでも、先か後かの差だけで、二人で全部目を通さなければならないのだけれど。
私は、手元の書類の束を見やり、少しだけため息をついた。
「羽津紀ー!今度の土曜日って空いてるー?」
「……特には……」
マンションに帰れば、聖が見計らったように突撃してきた。
その勢いに、何かと思って構えてしまう。
「じゃあさ、夜、”縁故”で飲まない?楠川くんが、いろいろ話したいって言ってるのー」
「え」
一瞬、心臓が跳ねてしまったのは――彼が、江陽の親友だから。
もしかしたら、何かを知っているのかもしれない。
そう思えば、断る理由など無いのだ。
「……別に、構わないけど……」
私がうなづくと、聖の表情が明るくなった。
「ありがとー!じゃ、返事しておくねー!」
いそいそと、持っていたスマホをいじり出す彼女に、私は、苦笑いだ。
――もしかしたら――彼と会うダシにされているのかしら。
それでも、嫌悪感を抱く事は無い。
私の分も――彼女には、幸せになってほしいと思うから。
――だから……そのためには、いくらでも協力しようと思った。
通常業務と並行してなので、さすがに――全部で一五〇件はしんどい。
けれど、今は、余計な事を考えずに済むので、私にはありがたかった。
「名木沢さん、ひとまず、僕がキャンペーン関係の方を見るから、キミは商品企画の方を見てくれる?」
「ハイ」
片桐さんと、プリントアウトした応募書類を振り分け、少々気が滅入る。
私に充てられた商品企画書は、約一二〇件。
片桐さんの四倍近くだ。
けれど、彼の方は、キャンペーンという大がかりなものなので、時間もかかるだろう。
とりあえず、振り分けて、一件ずつ目を通していく。
それだけでも、かなりの時間がかかってしまった。
「おーい、お二人さん、今日のところは、終わりにしておかないかい」
すると、神屋課長からそう声をかけられ、部屋の時計を見やれば――もう、終業時刻はとっくに過ぎていて、八時半をさしている。
「すみません、時間がかかりまして」
片桐さんが、申し訳無さそうに課長に頭を下げるが、首を振って返された。
「まあ、仕方ないから。でも、あんまり初っ端から根詰めると、後に響くからな」
「ハイ」
課長は、席を立つと、お先に、と、私達の脇を通り過ぎ部屋を出て行った。
私は、片桐さんを見やり、眉を下げる。
「……コレ、相当時間かかります……?」
「うーん……まあ、僕の方が早かったら、そっちの方も手を付けるから」
「お願いします」
それでも、先か後かの差だけで、二人で全部目を通さなければならないのだけれど。
私は、手元の書類の束を見やり、少しだけため息をついた。
「羽津紀ー!今度の土曜日って空いてるー?」
「……特には……」
マンションに帰れば、聖が見計らったように突撃してきた。
その勢いに、何かと思って構えてしまう。
「じゃあさ、夜、”縁故”で飲まない?楠川くんが、いろいろ話したいって言ってるのー」
「え」
一瞬、心臓が跳ねてしまったのは――彼が、江陽の親友だから。
もしかしたら、何かを知っているのかもしれない。
そう思えば、断る理由など無いのだ。
「……別に、構わないけど……」
私がうなづくと、聖の表情が明るくなった。
「ありがとー!じゃ、返事しておくねー!」
いそいそと、持っていたスマホをいじり出す彼女に、私は、苦笑いだ。
――もしかしたら――彼と会うダシにされているのかしら。
それでも、嫌悪感を抱く事は無い。
私の分も――彼女には、幸せになってほしいと思うから。
――だから……そのためには、いくらでも協力しようと思った。