大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
「名木沢クン、ちょっと来て!」
翌朝、私は、出勤するなり神屋課長に呼ばれ、一緒に社長室まで連れて行かれた。
訳もわからず引きずられ、中に入れば、先ほどまで一緒に通勤していた聖と――片桐さんがいた。
「――え、っと……あの……?」
戸惑いながら待ち構えていた社長と秘書の入和田さんを見やると、無言で眉を寄せられる。
そして、パソコンを応接セットのテーブルに置かれ、目の前のソファにうながされたので、聖とともに座った。
――そこに現れたのは。
――”ワールドスパイス、秋の大感謝祭!”
そう、明るい女性の声が響き渡る。
そして。
――”世界で一つだけの、あなただけの調味料プレゼントします!”
「――……っ……!!??」
私は、勢いよく、後ろに立っていた片桐さんを振り返った。
「――コレ……何でっ……‼」
すると、彼は、無表情で社長を見やる。
――どういう事⁉
動揺する私――聖だって、戸惑っている。
当事者のはずの私がこうなのだ。
彼女に至っては、何で見せられたのかすら、わかっていないだろう。
「――……どうやら、その反応じゃ、知らなかったみたいだね……」
そう片桐さんに言われ、私は立ち上がる。
「何の事ですか⁉一体――何で、ワールドスパイスがっ……‼」
「僕も、昨夜、スマホに流れてきたCMで知ったんだ。……確認したら、ほぼほぼ、ウチで上げた案と同じ――」
四班肝煎りとまで言い切った、あの企画が――どうして……。
私は、社長を振り返る。
「……どういう……事、でしょうか……」
社長も、弱り果て眉を下げて首を振った。
「いや、ボクも何ともね。……お盆前に企画書に判を押した時には、そんな話、同業者で欠片も出ていなかったよ」
という事は――完全に、秘密裏にしていたという事?
でも――それにしては、準備が早すぎないか。
違和感は、もちろん、神屋課長にも、片桐さんにもあったようで――二人の表情は、沈んだままだ。
「それで――久保さん、お兄さんから、何か聞いていないかな?」
社長は、そう言って、聖の隣にしゃがみ込む。
「――……い……え……」
彼女は、真っ青になり、緩々と首を振るだけだ。
まさか、想真さんから聞いていたとは思えない。
私達の仕事上――家族にだって、企画の決定案は秘密だ。
アドバイスをもらうことはあるかもしれないが――詳しい内容を言うはずが無い。
社長は、よっこらしょ、と、立ち上がり、私達を順番に見やる。
そして――沈んだ表情で、言った。
「――二番煎じは、ウチのプライドにかかわるからね。……申し訳無いが、この企画は没だよ」
翌朝、私は、出勤するなり神屋課長に呼ばれ、一緒に社長室まで連れて行かれた。
訳もわからず引きずられ、中に入れば、先ほどまで一緒に通勤していた聖と――片桐さんがいた。
「――え、っと……あの……?」
戸惑いながら待ち構えていた社長と秘書の入和田さんを見やると、無言で眉を寄せられる。
そして、パソコンを応接セットのテーブルに置かれ、目の前のソファにうながされたので、聖とともに座った。
――そこに現れたのは。
――”ワールドスパイス、秋の大感謝祭!”
そう、明るい女性の声が響き渡る。
そして。
――”世界で一つだけの、あなただけの調味料プレゼントします!”
「――……っ……!!??」
私は、勢いよく、後ろに立っていた片桐さんを振り返った。
「――コレ……何でっ……‼」
すると、彼は、無表情で社長を見やる。
――どういう事⁉
動揺する私――聖だって、戸惑っている。
当事者のはずの私がこうなのだ。
彼女に至っては、何で見せられたのかすら、わかっていないだろう。
「――……どうやら、その反応じゃ、知らなかったみたいだね……」
そう片桐さんに言われ、私は立ち上がる。
「何の事ですか⁉一体――何で、ワールドスパイスがっ……‼」
「僕も、昨夜、スマホに流れてきたCMで知ったんだ。……確認したら、ほぼほぼ、ウチで上げた案と同じ――」
四班肝煎りとまで言い切った、あの企画が――どうして……。
私は、社長を振り返る。
「……どういう……事、でしょうか……」
社長も、弱り果て眉を下げて首を振った。
「いや、ボクも何ともね。……お盆前に企画書に判を押した時には、そんな話、同業者で欠片も出ていなかったよ」
という事は――完全に、秘密裏にしていたという事?
でも――それにしては、準備が早すぎないか。
違和感は、もちろん、神屋課長にも、片桐さんにもあったようで――二人の表情は、沈んだままだ。
「それで――久保さん、お兄さんから、何か聞いていないかな?」
社長は、そう言って、聖の隣にしゃがみ込む。
「――……い……え……」
彼女は、真っ青になり、緩々と首を振るだけだ。
まさか、想真さんから聞いていたとは思えない。
私達の仕事上――家族にだって、企画の決定案は秘密だ。
アドバイスをもらうことはあるかもしれないが――詳しい内容を言うはずが無い。
社長は、よっこらしょ、と、立ち上がり、私達を順番に見やる。
そして――沈んだ表情で、言った。
「――二番煎じは、ウチのプライドにかかわるからね。……申し訳無いが、この企画は没だよ」