大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
うっすらと目を開けると、真っ白な天井。
見覚えの無いそれに眉を寄せ、私は、周囲を見回す。
「――名木沢さん」
「……片桐さん……?」
すると、真上から片桐さんがのぞき込んできて、私は、目を丸くする。
そして、ようやく、自分がベッドに横になっている事に気がついた。
――どこ……?
私は、起き上がろうとするが、彼が優しく肩を押さえる。
「まだ、ダメだよ」
「え」
そして、キョトンとする私に、諭すように言った。
「……相当飲んだ上に、急に走ったんだ。身体に負担がかかるのは当然だよ」
「……あ、あの……?」
すると、部屋のドアが開き、現れたのは――看護師だ。
「……え」
「ああ、目が覚めました?じゃあ、一応、頭打ってると悪いので、明日検査しますから」
「え、あ、あの」
訳もわからない状況に、それだけ告げられ、私は、更に混乱した。
「あのさ、覚えてないかな」
「え」
看護師が去った後、片桐さんは、そばの丸イスに座ると、のぞき込んできた。
「あ、あの、私……」
「あの状態で走ったせいか、倒れたんだよ。――道の、ど真ん中で」
「え」
「さすがにマズいと思ってさ、救急車呼んだんだ」
「――え⁉」
私は、横になったまま目を剥く。
――救急車⁉
けれど、片桐さんは、真剣な表情で私を見つめた。
「……意識を失っていたから――本当に怖かったよ……」
「……す、すみませんでした……」
すると、彼は、苦笑いで首を振る。
「――謝るのは、僕の方だよ。……そうさせてしまったのは、僕のせいなんだから」
私は、その言葉に、彼の温もりと唇の感触を思い出してしまい、顔を背けた。
「……あの……」
「うん、でも、とりあえずは大丈夫そうで、安心したよ」
「――片桐さん」
「――……ゴメンね」
「え」
彼は、沈んだ表情で、私に頭を下げる。
「片桐さん」
「――……キミの気持ちは、知ってたはずなのにね。……どうしても――あんな風になっているのを見たら……我慢できなかった――」
それは――まだ、私を好きでいてくれているという事なんだろう。
けれど……。
「……申し訳、ありません……。――……私には――もう……」
――あなたを、”戦友”として――一番、頼りになる仲間としてしか、見る事ができないんです。
この二年で、そう、自分に言い聞かせて――時折顔を出してくる罪悪感と戦って――ようやく、消化できた想いなんです――……。
江陽と、つき合い始めた頃――ずっと、あなたの影があった。
あなたがくれたものは――……ずっと、私の中で生きているから。
それでも、その影を乗り越えて――やっと、過去にできたはずなのに。
すると、頬に片桐さんの指がそっと触れ、流れていた涙を拭いてくれた。
「……わかってるよ……」
「――じゃあ、何でっ……」
「でもさ……自分でも押さえられないんだよ。――キミが、こんな事になってしまったから……」
「……っ……」
彼は、そのまま、私の頬を撫で続けると――悲しそうな表情で告げた。
「――……お願いだから……早く、幸せになってよ。……じゃないと、僕はもう、何をしてしまうか、自分でもわからないんだ……」
見覚えの無いそれに眉を寄せ、私は、周囲を見回す。
「――名木沢さん」
「……片桐さん……?」
すると、真上から片桐さんがのぞき込んできて、私は、目を丸くする。
そして、ようやく、自分がベッドに横になっている事に気がついた。
――どこ……?
私は、起き上がろうとするが、彼が優しく肩を押さえる。
「まだ、ダメだよ」
「え」
そして、キョトンとする私に、諭すように言った。
「……相当飲んだ上に、急に走ったんだ。身体に負担がかかるのは当然だよ」
「……あ、あの……?」
すると、部屋のドアが開き、現れたのは――看護師だ。
「……え」
「ああ、目が覚めました?じゃあ、一応、頭打ってると悪いので、明日検査しますから」
「え、あ、あの」
訳もわからない状況に、それだけ告げられ、私は、更に混乱した。
「あのさ、覚えてないかな」
「え」
看護師が去った後、片桐さんは、そばの丸イスに座ると、のぞき込んできた。
「あ、あの、私……」
「あの状態で走ったせいか、倒れたんだよ。――道の、ど真ん中で」
「え」
「さすがにマズいと思ってさ、救急車呼んだんだ」
「――え⁉」
私は、横になったまま目を剥く。
――救急車⁉
けれど、片桐さんは、真剣な表情で私を見つめた。
「……意識を失っていたから――本当に怖かったよ……」
「……す、すみませんでした……」
すると、彼は、苦笑いで首を振る。
「――謝るのは、僕の方だよ。……そうさせてしまったのは、僕のせいなんだから」
私は、その言葉に、彼の温もりと唇の感触を思い出してしまい、顔を背けた。
「……あの……」
「うん、でも、とりあえずは大丈夫そうで、安心したよ」
「――片桐さん」
「――……ゴメンね」
「え」
彼は、沈んだ表情で、私に頭を下げる。
「片桐さん」
「――……キミの気持ちは、知ってたはずなのにね。……どうしても――あんな風になっているのを見たら……我慢できなかった――」
それは――まだ、私を好きでいてくれているという事なんだろう。
けれど……。
「……申し訳、ありません……。――……私には――もう……」
――あなたを、”戦友”として――一番、頼りになる仲間としてしか、見る事ができないんです。
この二年で、そう、自分に言い聞かせて――時折顔を出してくる罪悪感と戦って――ようやく、消化できた想いなんです――……。
江陽と、つき合い始めた頃――ずっと、あなたの影があった。
あなたがくれたものは――……ずっと、私の中で生きているから。
それでも、その影を乗り越えて――やっと、過去にできたはずなのに。
すると、頬に片桐さんの指がそっと触れ、流れていた涙を拭いてくれた。
「……わかってるよ……」
「――じゃあ、何でっ……」
「でもさ……自分でも押さえられないんだよ。――キミが、こんな事になってしまったから……」
「……っ……」
彼は、そのまま、私の頬を撫で続けると――悲しそうな表情で告げた。
「――……お願いだから……早く、幸せになってよ。……じゃないと、僕はもう、何をしてしまうか、自分でもわからないんだ……」