大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
その後、無事に異常無し、と、太鼓判を押され、数日振りにマンションへ帰る。
今日は、一応、大事を取って仕事は休んだ方が良いと言われたが、午後から出勤する事にした。
――一人で部屋にいたところで、考えたくない事ばかり考えてしまうから。
――たとえ――もう、私の仕事に、何の意味も無いのだとしても……。
「名木沢さん!来ても、大丈夫だったの⁉」
恐る恐る企画課へ顔を出すと、片桐さんが、珍しく慌てて駆け寄って来た。
私は、彼の大げさとも取れる態度に違和感を持つが、頭を下げた。
「……いろいろと、申し訳ありませんでした。もう、大丈夫ですので」
「……そう……良かった……」
片桐さんは、心底ホッとしたような表情でうなづく。
それに罪悪感を覚えるが、奥にいた神屋課長に手招きされ、そちらに向かった。
「おはようございます、遅くなりました」
「……連絡もらった時は、冷や汗かいたよ。――命に別状は無いんだね?」
「ハイ、特に異常は無いとの事です。お騒がせしました」
私は、課長に頭を下げると、自分の席を振り返る。
けれど――週末にあったはずの、未決の書類は、視界に入らない。
「……え……?」
「名木沢クン、少し、話せるか」
「え、あ、ハイ」
私の様子をうかがっていた課長は、そう言って立ち上がり、先に部屋を出る。
それについて行くと、エレベーターの最上階ボタンを押していた。
――すなわち、それは、社長の元に向かうという事だ。
「……あの……課長……?」
すぐにエレベーターは開き、私は、中に入りながら恐る恐る声をかけるが、課長の表情は、微動だにしない。
そして、最上階へ到着すると、すぐに社長が出迎えてくれた。
「おはよう――じゃない。大丈夫だったかい、名木沢さん!報告もらって、ビックリしたよ!」
「……申し訳ありませんでした……」
私は、深々と社長に頭を下げた。
プライベートとはいえ、仕事に影響が出るような事になってしまったのだから。
「まあ、元気なら良いんだけど――神屋くんから聞いたかな?」
「――え、いえ」
そう言われ、ドアの方で待機していた課長を振り返る。
けれど、少しだけ気まずそうに視線を逸らされた。
「……何か、ありましたでしょうか……」
私が尋ねると、社長は、口元を引いた。
「名木沢さん――出張、というのは、できるかな」
「……え?」
まるで、話が見えない。
そんな私を見やり、社長は、口元を上げた。
今日は、一応、大事を取って仕事は休んだ方が良いと言われたが、午後から出勤する事にした。
――一人で部屋にいたところで、考えたくない事ばかり考えてしまうから。
――たとえ――もう、私の仕事に、何の意味も無いのだとしても……。
「名木沢さん!来ても、大丈夫だったの⁉」
恐る恐る企画課へ顔を出すと、片桐さんが、珍しく慌てて駆け寄って来た。
私は、彼の大げさとも取れる態度に違和感を持つが、頭を下げた。
「……いろいろと、申し訳ありませんでした。もう、大丈夫ですので」
「……そう……良かった……」
片桐さんは、心底ホッとしたような表情でうなづく。
それに罪悪感を覚えるが、奥にいた神屋課長に手招きされ、そちらに向かった。
「おはようございます、遅くなりました」
「……連絡もらった時は、冷や汗かいたよ。――命に別状は無いんだね?」
「ハイ、特に異常は無いとの事です。お騒がせしました」
私は、課長に頭を下げると、自分の席を振り返る。
けれど――週末にあったはずの、未決の書類は、視界に入らない。
「……え……?」
「名木沢クン、少し、話せるか」
「え、あ、ハイ」
私の様子をうかがっていた課長は、そう言って立ち上がり、先に部屋を出る。
それについて行くと、エレベーターの最上階ボタンを押していた。
――すなわち、それは、社長の元に向かうという事だ。
「……あの……課長……?」
すぐにエレベーターは開き、私は、中に入りながら恐る恐る声をかけるが、課長の表情は、微動だにしない。
そして、最上階へ到着すると、すぐに社長が出迎えてくれた。
「おはよう――じゃない。大丈夫だったかい、名木沢さん!報告もらって、ビックリしたよ!」
「……申し訳ありませんでした……」
私は、深々と社長に頭を下げた。
プライベートとはいえ、仕事に影響が出るような事になってしまったのだから。
「まあ、元気なら良いんだけど――神屋くんから聞いたかな?」
「――え、いえ」
そう言われ、ドアの方で待機していた課長を振り返る。
けれど、少しだけ気まずそうに視線を逸らされた。
「……何か、ありましたでしょうか……」
私が尋ねると、社長は、口元を引いた。
「名木沢さん――出張、というのは、できるかな」
「……え?」
まるで、話が見えない。
そんな私を見やり、社長は、口元を上げた。