虐げられてきたネガティブ令嬢は、嫁ぎ先の敵国で何故か溺愛されています~ネガティブな私がちょっぴりポジティブになるまで~

「お、恐れながら、申し上げます……」

 私が口を開くと、「おお、なんだ。申してみよ」とゼウラウス国王は寛大に私の言葉を聞いてくれる姿勢をとった。

「わ、私は、第一王子との婚姻のため、こちらに参りました……」
「うむ」
「し、しかしそれは、アレスとルプスの協定の結果、両国での争いが起きぬよう、歯止めとなるようにという、誓約のもとの婚姻と承知しております……。つまりは、ルプス帝国が小さな国家であるアレス国に攻め入ることのないよう、私はその人質のような役割と存じており……」

「ちょ、ちょいちょい待て。クラリス王女よ?」
「は、はい……」

 私の言葉を静かに聞いていたゼウラウス国王は、慌てたようにストップをかける。

「サビウスがなんと言っていたのかはわからないが、それは全く違う」
「え……?」
「戦争云々とかそんな難しい話ではなく、我がルプス帝国はただ単に、普通にクラリス王女をレオナルドの妻として迎えたいだけなのだが?」
「………………え?」

 王の間にいる全員、いやレオナルド殿下は違うかもしれないが、頭の上にはてなマークを浮かべていた。

「サビウスが資源がどうだの、クラリスをやるからどうだのと言っていたが、我が国としては、クラリス王女が嫁いでくれればなんでもよかったのだが」

 私はぽかんと口を開けるしかなかった。

 つまり、どうやらこういうことらしい。

 ゼウラウス国王が、お父様に資源をもう少し回してもらえないか相談したところ、お父様はもちろん断った。
 ゼウラウス国王は冗談交じりにアレス国ごともらっちゃおうかなぁ、と発言したところ、それを本気にしたお父様が、大きな戦争に発展すると勘違い。
 焦って私、クラリスをルプスに送り、懸け橋となるよう和平を結ぶことで戦争を回避したと思い込んだアレス。
私が嫁いでくれるなら、資源は我慢してなんとかやりくりするかとなったルプス。
 どうして急に私を嫁がせてくれる気になったかわからないながらも、ルプス側はレオナルド殿下の嫁探しに困窮していたので、快く承諾。

 というのが事の真相だった。

 つまり…………?

「歓迎するぞ、クラリス王女。いやもう娘になるのだな、クラリス!」

 がはは! と快活に笑い声を上げるゼウラウス国王。
 どうやら私は人質にされるわけでも、監禁されるわけでもなく、普通に時期王妃として迎え入れられたらしい。

 ……本当に……??


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