仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです

就業時間が過ぎて沙羅が帰ろうとした時、ロビーで沙羅に声をかける人物がいた。


「七海…おつかれ!」


そこに居たのは木村だった。
木村は沙羅に近づいて来た。


「なぁ、よかったらメシでも食っていかないか?近くで美味しい店を見つけたんだ。」


沙羅は少し考えたが、まりかも今日は残業だと言っていたので、木村と食事に行くことにした。
木村が沙羅を連れて来たのは、和食の定食屋だった。
なんとなく懐かしいメニューが並んでいる。


「この店、最近出来たんだけど、口コミでおふくろの味がするって評判なんだよ。なに食っても美味いよ。」

「へぇ~、木村君ってこういう店とか詳しいんだ。」


沙羅と木村は。焼き魚や肉じゃがなど、和食をいくつか頼んでシェアすることにした。
どの料理も確かに美味しくて沙羅も大満足だ。

お腹がだいぶいっぱいになった時、木村は真面目な表情で沙羅を見た。


「七海、社長と別れたって本当なのか…あのさぁ…よかったらなんだけど……俺じゃダメかな?」

「…っえ?どういうこと?」


沙羅は突然のことに意味が分からない。
すると木村はさらに続けた。


「七海はさぁ、入社してすぐに皆には内緒にはしてたけど、篠宮課長と付き合っていただろ…課長が結婚して沙羅と別れたと思ったら、今度は霧島社長と婚約するとか…俺には遠い存在だったけど、ずっと七海を見て来たんだ。」


「…木村君…あの…私…まだ何も考えられなくて…」


木村は笑顔で慌てた素振りをする。


「ごめん…七海…いきなり困るよな…あのさぁ、考えておいてよ…答えはいつでもいいからさ!」


木村君は良い人だが、沙羅はまだ北斗を忘れることはできない。



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