仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです

翌日、会社に出社した沙羅は伝えないといけない事があった。

それは木村に返事を伝える事だった。

お昼休み、社食で木村を見つけた沙羅はその隣に座ったのだった。
そして木村の顔を覗き込んだ。


「木村君、先日の返事なんだけど…」


木村は沙羅の言葉を遮るように話を始めた。


「あの…あのさぁ…もう怪我は大丈夫なのかい…大きな事故だって報道されててびっくりしたよ…でもそのお陰で霧島社長を助けたんだろ…良かったな。」


沙羅の事故は報道陣によって皆に伝えられていた。

婚約者が霧島社長を助けるために身を挺して救ったとちょっとした美談になっていたのだ。


「七海、もう返事はいいよ…霧島社長と幸せになれよ。」

「…木村君、ごめんね。」

「謝らないでくれ…俺が惨めになるだろ…ハハハッ」


木村君は笑いながら席を立った。
きっと精一杯の強がりだったのかも知れない。


(…ごめんね、木村君…)



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