仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
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それから数日後。
今、沙羅と北斗は二人で病院に向かっている。
それは里香の赤ちゃんがそろそろ生まれそうだと連絡を貰ったのだ。
「北斗さん、ドキドキしますね。」
「そうだな…俺たちは叔父さんと叔母さんになるんだな。」
病院のロビーでは太一が不安そうな表情で座っていた。
こんなに弱々しい太一は初めて見る。
「兄さん、どんな状況だ?」
すると、太一は動揺した様子で話始めた。
「里香の陣痛が始まってもう数時間経っているが、まだ生まれ来ないみたいなんだ。」
その時、里香のいる分娩室のドアを開けて看護師が一人出て来た。
部屋の中からは赤ちゃんの可愛い泣き声が聞こえているではないか。
看護師は太一に笑顔を向けた。
「霧島さん、おめでとうございます。可愛い女の子ですよ。」
太一はそのまま膝から崩れ落ちて涙を流した。
「兄さん、おめでとう!」
「おめでとうございます!!」
その後、沙羅たちは生まれた赤ちゃんを見せてもらった。
「北斗さん、玉のように可愛いとはこういう事なんですね。」
「…そうだな。」
その赤ちゃんは小さな手で里香の指と差し出した太一の指をしっかりと握っていたのだった。
沙羅は里香に声を掛けた。
「里香さん、頑張りましたね。おめでとうございます。」
「ありがとう沙羅ちゃん、途中で苦しくて大変だったけど今は生きてきた中で一番幸せだと思えるの。」
その後、その女の子は 雫(しずく)と名付けられた。