仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
沙羅が父親に大きな声を出した。
「お父さん!なんでそんな言い方するの!」
父親は静かに首を横に振った。
「沙羅、霧島さんとは釣り合わない。諦めるんだな。」
父親がその場を立ち去ろうとした時のことだった。
北斗が立ち上がり、床に膝を着くと、そのまま頭が床に着くように頭を下げたのだった。
「私は沙羅さんを命に代えても守って幸せにします。…どうか結婚のお許しをお願いします。」
沙羅は北斗の姿に驚き声をあげた。
「北斗さん!そこまで頭を下げないでください。」
その様子を見ていた母親が父親に声をかけた。
「お父さん、霧島さんの話を聞いてあげましょうよ。」
母に言われた父は、眉間に皺を寄せたが、歯を喰いしばり北斗を見た。
「霧島さん、君なら沙羅よりも相応しい女性が沢山いるだろう…なぜ沙羅を選んだのかな。」
父の言葉に沙羅は驚いた表情をした。
確かに父親が言う通りだと思った。
これは嘘の結婚なので、北斗が何を言うのか不安になっていた。
すると、北斗は少し微笑を浮かべながら話し始めた。
「沙羅さんは仕事もプライベートも一生懸命な女性です。前向きな考え方に私も勇気づけられています。人を大切にできる素敵な女性です。私はそんな沙羅さんに惹かれました。」
北斗の言葉を聞いて、父親は何かを考えるように目を閉じた。