女王陛下は溺愛禁止!
第一章
1
数々の青年たちは黄金の額に縁取られていた。植物をモチーフにした彫り物が施されているものや、宝石が象嵌されているものもある。床から腰までの高さの額縁がほとんどで、中には人の背丈ほどの額縁もあった。
描かれた彼らの顔立ちは例外なく整っており、衣装はきらびやかだ。
豪華な部屋の中、アンジェリア・ソルディード・シュリアンは鬢から垂らした金の髪を指にくるくると巻きながらそれらを眺めていた。やがて青い目を細めて薄桃の唇を尖らせ、大きなため息をつく。
「ソルディノアノス王国の女王ともあろう方がみっともない」
すかさずたしなめるのはアンジェリアの側近、ラドウィルト・リッジ・カリオスだ。艶やかな黒髪に、きりりとした深い森の色の瞳をしている。仕立ての良い生地に銀色の縁取りの入ったコートを着て、白いクラヴァットを銀のブローチで留めていた。腰には見事な拵えの剣を下げている。女王の前で帯剣を許されているのは彼が護衛を兼ねているからだ。
「今ここにいるのは我らふたりだけだ。見逃せ」
その言葉に、今度はラドウィルトが端正な顔に憂いを浮かべてため息をつく。
「人に注意しておいて」
「仕方ありますまい。主が主ですから」
反論されて、アンジェリアは肩をすくめた。
「それで、夫にふさわしい人は見つかりましたか?」
「見つかるわけがなかろう。はやりの画風にしたのだろうが似たような顔ばかり、ごてごてと飾り立てていて、なのに、みな同じに見える。センスが悪い上に浪費癖があるという自己紹介か? 自己主張の強さにも呆れる。孔雀のほうがまだ落ち着きがあるし区別もつくだろうよ」
「お気持ちはお察しいたしますが、目星をつけていただかないと。舞踏会は明後日の夜でございます」
舞踏会という名の集団お見合いが予定されていて、それもまた彼女の憂鬱に拍車をかけていた。
「結婚などしなくていいではないか」
「いけません。重大なお仕事のひとつでございます。陛下は御年二十七歳、適齢はとっくにすぎております。本来ならば十年も前には伴侶が決まっていてもおかしくはございませんのに」
ラドウィルトの言葉に、アンジェリアは顔をしかめた。
描かれた彼らの顔立ちは例外なく整っており、衣装はきらびやかだ。
豪華な部屋の中、アンジェリア・ソルディード・シュリアンは鬢から垂らした金の髪を指にくるくると巻きながらそれらを眺めていた。やがて青い目を細めて薄桃の唇を尖らせ、大きなため息をつく。
「ソルディノアノス王国の女王ともあろう方がみっともない」
すかさずたしなめるのはアンジェリアの側近、ラドウィルト・リッジ・カリオスだ。艶やかな黒髪に、きりりとした深い森の色の瞳をしている。仕立ての良い生地に銀色の縁取りの入ったコートを着て、白いクラヴァットを銀のブローチで留めていた。腰には見事な拵えの剣を下げている。女王の前で帯剣を許されているのは彼が護衛を兼ねているからだ。
「今ここにいるのは我らふたりだけだ。見逃せ」
その言葉に、今度はラドウィルトが端正な顔に憂いを浮かべてため息をつく。
「人に注意しておいて」
「仕方ありますまい。主が主ですから」
反論されて、アンジェリアは肩をすくめた。
「それで、夫にふさわしい人は見つかりましたか?」
「見つかるわけがなかろう。はやりの画風にしたのだろうが似たような顔ばかり、ごてごてと飾り立てていて、なのに、みな同じに見える。センスが悪い上に浪費癖があるという自己紹介か? 自己主張の強さにも呆れる。孔雀のほうがまだ落ち着きがあるし区別もつくだろうよ」
「お気持ちはお察しいたしますが、目星をつけていただかないと。舞踏会は明後日の夜でございます」
舞踏会という名の集団お見合いが予定されていて、それもまた彼女の憂鬱に拍車をかけていた。
「結婚などしなくていいではないか」
「いけません。重大なお仕事のひとつでございます。陛下は御年二十七歳、適齢はとっくにすぎております。本来ならば十年も前には伴侶が決まっていてもおかしくはございませんのに」
ラドウィルトの言葉に、アンジェリアは顔をしかめた。