女王陛下は溺愛禁止!

「陛下、私は生涯を陛下に仕えると誓います」
 捧げた言葉に、目の前の少女は慄いた様子を見せた。彼女にとっては生涯を捧げる誓いなど重かったのだろう。
 だが、彼女が否やを言えるわけがない。

 叛乱の報のあと、ラドウィルトは誰よりも先んじて駆けつけ、忠誠を誓った。
 少女は重すぎる王冠が落ちないように、静かに頷く。
 自信がないなどと言っていられない。自分が立たねば国が立たない。それを彼女はわかっている。

「誓いを許す。良く仕えよ」
 差し伸べられた白く華奢な手は、かすかに震えている。
 彼は宝物のようにそっと手をとり、恭しく口付けた。



 頭の痛みに呻き、自身のその声でラドウィルトは意識を取り戻した。
 夢を見ていた。叛乱が起きた直後、アンジェリアに謁見したときのことを。

 今でこそふてぶてしい女王であるが、あのときの彼女はまだ少女にすぎず、蒼白で必死に恐怖を飲み込んでいた。
 即位後、前王を支えた重臣が中心となって彼女を支えた。

 だが、中には不安を抱える者もいた。彼らは叔父のロマスが反乱を起こすとそちらについた。
 周辺国が静観を決め込んでいたのが幸いだった。ロマスと手を組んだり隙をついて攻め込まれたりしてはたまったものではない。

 必ず彼女を支える。
 このときは亡き前王のために誓ったにすぎない。
 忠義が愛に変わるのに時間はかからなかった。
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