女王陛下は溺愛禁止!
 必死な采配に、自身の決断にひとり震える彼女に、支えなければと強く思った。だというのに。

 ラドウィルトは顔をしかめた。
 後頭部がずきずきと痛む。
 目を開けると夜よりも濃密な闇があるばかり。自分は横になっているようで、頬には冷たく硬い感触があった。おそらくは石の床だろう。
 頭に手をやろうとして、両手の拘束に気が付いた。足も縛られていて、身動きがとれない。

「どこだ、ここは」
 声の反響から、さほど広くないと察した。だが、それだけだ。

 誰かに閉じ込められた。
 自分をどうするつもりなのか。
 マリオンとどう関係しているのか。

 あのとき、自分はマリオンとふたりだけだった。なのに後ろから殴られ、意識を失った。
 何者かの侵入があったのだろうか。

 だが、それならマリオンの様子に変化があったはず。
 そうではない、ということは、マリオンの仲間が?

 だが、どうしてそんなことを? 無理矢理にでも自分を逃がすために?
 あるいは、彼が犯人であるがゆえに?
 ラドウィルトはぞっとした。

 彼には魔力があり、手を触れずに物を動かせる。詳しくは聞いていないからその効力の範囲や威力はわからない。
 だが、彼なら花瓶をベランダから誰にも見られずに落とすことは可能だろう。ラドウィルトを階段から突き落とされたのも背後から殴られたのも魔力によるのかもしれない。
 だが、そうなるとリストンの伯爵やクライドを狙ったのは誰なのか。不審なメイドとの関連は?
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