女王陛下は溺愛禁止!
「止めても来るのだろうな」
「同じことを申し上げます」
 アンジェリアはふっと笑った。

「ならば付いてこい」
「どこまでもお供いたします」
 ラドウィルトの言葉にアンジェリアは口の端を歪めて笑った。歩き出したそれはいつしか駆け足へと変わり、手に持ったカンテラの光がゆらゆらと揺れる。

「今から追いつけると思うか」
「わかりません」
 まっすぐに伸びる地下道。
 使われなくなって久しい王族の抜け道だと思われた。アンジェリアにもここがどこにつながっているのか記憶が定かでない。

「この地下道、地下神殿へ繋がっているのではないのか?」
「そうかもしれませんね」
 やがて終点にたどりつくと、錆ついた扉がはがれて落ちていた。息を切らして中に入る。
 薄暗いカンテラに照らされた床は、見たことがあった。

「やはり」
 アンジェリアがラドウィルトを見ると、彼は扉の近くにカンテラの安置場所を探し、そこに置く。
 いっきに光が広がった。
 水晶に囲まれた大きな地下空洞。

 壁には神々の姿が描かれ、ステンドグラスを背にした祭壇にはクライドが縛り付けられていた。
 彼はぐったりとしていて動く気配がない。意識を失っているようだ。腹は傷が開いたのか血が滲み、その首の横に祭壇に突き刺さる形で短剣があった。
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