女王陛下は溺愛禁止!
「させない!」
 エアはアンジェリアの前に花びらの壁を作った。
 続けてマリオンが魔力を発するが、花びらの壁がことごとく跳ね返す。

「エア、そんな力があったのか……」
 アンジェリアは呆然とつぶやく。
「くそ、お前らごときに……魔力を持つ私が……」
 マリオンの悔し気な声が漏れる。その腹からはぼたぼたと血が垂れ、海を作る。

「ラドウィルトを殺してやる!」
 マリオンの呪詛はアンジェリアを誘い出すためだ。わかっていても、彼女は花の防御壁を超えようとする。

「ラドウィルト!」
「ダメだって!」
 あがくアンジェリアを、エアが押しとどめる。
 ラドウィルトが呻きながら立ち上がる。

「お前がいなければ」
 魔力で突き飛ばされ、彼は再度、地面に叩きつけられた。
 直後、操られた短剣が彼を狙う。

「ラドウィルト!」
 アンジェリアは絶望で叫ぶ。
 短剣は、しかし彼の直前で跳ねた。水晶のかけらが短剣を跳ね飛ばしたのだ。

 飛んできた方を見るとふらつきながら立つクライドがいた。彼が水晶を投げたらしい。
 すぐさまラドウィルトが立ちあがり、落ちた短剣を拾う。
 マリオンはごふっと血を吐いて膝をついた。
 彼はラドウィルトに手を伸ばすが、なんの力も発せられない。命が尽きかけ、魔力をうまく操れないようだった。
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