女王陛下は溺愛禁止!
「あまりかわいいことを仰るとキスをして差し上げますよ」
「やめろと言っている!」
 反論するアンジェリアに、彼はくすくすと笑う。

 もしかして、とアンジェリア顔を真っ赤にして思う。
 自分が暗い気持ちにひきずられないように、彼はこうしているのだろうか。いや、きっとそうに違いない。彼は忠臣なのだから!

「ああっ、なにしてんの、離れろ!」
 ふいに大声が響き、エアが現れた。
「来たのか」
 アンジェリアには彼が救いの神に見えた。
 エアが現れたからか、ラドウィルトはアンジェリアを離してくれる。

「油断も隙もない! アンジェリアは俺のもなんだから!」
 今度はエアに抱きしめられ、アンジェリアは慌てた。
「離せ!」
「やだ。助けてあげたんだから、言うこと聞いてもらう。お菓子いっぱい作ってもらって、あーんしてもらう」
 エアはぎゅっと抱きしめてアンジェリアの髪に顔をうずめる。その無事を喜び、慈しむように。

「わかった、わかったから離してくれ!」
 アンジェリアがもがくと、エアはアンジェリアの頭にちゅっとキスを落としてから離れた。

「絶対だからね。ラドウィルトも、等身大ケーキとアイスクリーム、絶対だよ」
「わかっております」
 ラドウィルトは静かな笑みを浮かべてエアに跪き、深々と頭を下げた。

「助けていただき、感謝しております、守護神エア」
 言われた瞬間、エアは全身に電撃が走ったかのように震えた。

「いいね、それ。これからそう名乗ろうっと」
 エアは嬉しそうに笑みを見せた。
 アンジェリアは大きくため息をついた。エアが現れると結局、深刻な空気が消えてしまう。

「では仕事をいたしましょうか」
 にっこりと笑うラドウィルトに、アンジェリアは肩をすくめて苦笑をこぼした。
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