女王陛下は溺愛禁止!
「……すまない。私がやるべきことを、お前にやらせてしまった」
「なんのことでしょう」
「マリオンだ」

 彼の命を奪うのはアンジェリアであるべきだった。彼の隠れた欲望を自覚させた責任をとって。
 だが、実際にはラドウィルトがその役を担った。

「私は私のすべきことをなしたにすぎません」
 ラドウィルトはアンジェリアに微笑みかける。
「しかし……」
 うつむくアンジェリアを、ふわっと包むものがあった。
 抱きしめられた、と驚いて見上げると、甘い眼差しが降り注ぐ。

「謝罪よりもお誉めをいただきとうございます。お守り申し上げたのですから」
「あ、いや、え? なにをしている?」
「抱きしめて差し上げております」
 ラドウィルトは平然と答える。

「死にそうになったとき、後悔いたしました。どうせ死ぬのであれば陛下をお慕い申し上げているとお伝えすべきだったと」
「はあ!?」
 アンジェリアは離れようとするが、彼にがっちりと抱きしめられて逃れられない。

「陛下が誰と結婚しようとも、私は陛下をお慕いし、一生の忠誠を誓います」
「や、やめろ、質の悪い冗談を……」

「冗談ではございません」
「やめてくれ……」
 アンジェリアの声は弱くなり、顔を真っ赤にしてうつむく。

「陛下がお照れになられると、かわいくて仕方がありません」
「抜かせ! もうお前なんか(くび)だ!」
 アンジェリアの言葉に、ラドウィルトはふふっと笑う。
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