女王陛下は溺愛禁止!
グレイソンの元を辞して執務室に戻ったアンジェリアは、ため息交じりにラドウィルトに向かう。
「私になにも言わぬのか」
「なにを申し上げる必要があると?」
「マリオンのことだ。謀反を公表せず、妹とその子を守った。叔父一家はは処刑したのに」
「すべてをさらけ出すのが正解ではございません。ご存じでございましょう?」
「だが、それでは不公平ではないか」
「いいのですよ」
ラドウィルトがその先を遮る。
「情を優先していけないことがありましょうか。真相を誰も知らぬのであればそれは起こっていないのと同じこと」
「しかし……エアがいる」
「ですが、その神が咎めていないのです。神がお許しになられたのですよ」
アンジェリアは目を丸くして彼を見た。彼が真に神であるならば、その理論は成り立つのかもしれないが。
「『神』を便利に使いすぎではないか?」
「しょせん神は人のために生まれ、都合よく信仰される存在なのです」
「エアが聞いたら嘆くな」
アンジェリアは苦笑する。
「非情であろうとしながらも、情を捨てきれない。陛下のそんなところもお慕いしております」
「……! そういうことを言うものではない!」
アンジェリアは叫び、背を向ける。
照れているに違いなく、だからラドウィルトは笑みを浮かべる。
数日後、アンジェリアはラドウィルトとエアを伴って貴賓室に入った。
テラスでは茶会の準備が進んでおり、メイドに指示をしていた侍女がアンジェリアを見てお辞儀をした。
鷹揚に頷いて返したアンジェリアは、侍女に尋ねる。