女王陛下は溺愛禁止!




 翌日、アンジェリアは執務室でラドウィルトを迎えた。
 彼の隣にはひざ丈のキトンを着たエアがふわふわと浮いていて、暇そうに体をぐるっと縦に一回転させた。
 アンジェリアは麗雅な彫刻の施されたマホガニーのデスクに向かっていた。その端には紅茶が用意されている。執務中に飲むためのものだ。

 ラドウィルトはアンジェリアに正対し、慇懃に頭を下げた。
「昨夜はつつがなく舞踏会を終えられたこと、お喜び申し上げます」
「ああ……疲れたがな」
「どなたを夫とされるか、決められましたか?」
 言われてアンジェリアは不快に眉を寄せる。

「お前も見ていただろう。あれでどうやって決まると言うのだ」
「陛下が短気を起こされたゆえの惨事でございましょう」
 アンジェリアは顔をしかめるが、ラドウィルトは気にせずに続ける。

「隣国の王子とはしとやかにダンスを踊っておられ、さらには薔薇を贈っておられました」
「あんなものは成り行きだ」
 アンジェリアは手をひらひらさせる。

「いい加減にあきらめて結婚なさってください。私のほうが我慢できなくなります」
「なにを我慢していると?」

「いろいろでございますよ」
「女か。我慢など必要なかろう。そなたならば選びたいほうだい。女の方が手ぐすね引いて待っておろうに」

「まったく配慮のないご発言」
 ラドウィルトは大袈裟に天を仰いで見せた。
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