女王陛下は溺愛禁止!
「こうなったらトーナメントで選ぶか。少なくとも武勇に優れた男を選ぶことができようぞ」
 アンジェリアがふざけると、エアが喜んで賛同する。
「それやろう! 俺が圧勝するから!」

「またお戯れを。最後にはなんのかのと言い逃れをなさるのでしょう?」
「さあな」
 アンジェリアは興味なさげにそっぽを向いた。

「私もかなり譲歩しております。自ら選んでいただいたほうが今後の陛下の人生でご納得いただけるものかと」
「そなたのおかげで男の基準が爆上がりしている気もするのだがな」
「私の?」
 ラドウィルトは意外そうに眉を上げた。

「眉目秀麗、文武両道、身分は侯爵、そのような男はなかなかにいない」
「お誉めいただきありがたく存じます。ですが私を言い訳にしても許されませんよ」
 返答に、アンジェリアは舌打ちをする。
「陛下!」
 行儀を咎められ、彼女は肩をすくめる。

「言っておきますが、運命の出会いなんてありえませんからね」
「そこらの乙女と同じにしてくれるな」

「あれこれ理由をつけておいでですが、結局はそうではないのですか?」
「はん! ありえぬ!」
 否定するアンジェリアだが、その目が少し泳いだ。

「陛下が溺愛小説を愛読しているのを私が知らないとでも?」
「な、なにを言う!」
「存じておりますよ、ベッドの下に隠しているのを」
< 32 / 204 >

この作品をシェア

pagetop