女王陛下は溺愛禁止!
「なぜそれを!」
「やっぱりそうでしたか」
 勝ち誇った笑みに、彼女は失言を悟った。かまをかけられ、まんまとはまってしまったのだ。

「陛下の購入品目の確認は私の仕事ですからね、知っておりましたよ」
「あれは、世の娯楽の確認のためにだな……」
「今さら無駄ですよ」
 アンジェリアはガクリとうなだれた。

「ちゃんと歴史書や哲学書などと一緒に買ったのに」
「ベッドの下に隠すなど思春期にエロ本を隠す少年と同じでらっしゃる」

「一緒にするな。官能表現はない作品だし、作者のジャスミナ・フィンベルは溺愛小説界の女神と言われている大人気作家なんだぞ!」
「結局のところ、恋に恋する乙女とお変わりなく」

「うるさい黙れ」
「御同情申し上げますよ。恋する暇もありませんでしたでしょう。だからこそ好ましい男性を王配になさっていただきたいと尽力しております」

「お前だってちょくちょく候補にケチをつけてつぶしているじゃないか」
「相応しい方を吟味しているだけでございます」

「だからさ、神である俺と結婚すればよくない?」
 エアはぷかぷかと浮いてアンジェリアに近づく。
「封印されし神と結婚、ドラマチックで素敵じゃん」
「そなただけはないな」
 アンジェリアの即答に、エアはむっとする。

「なんで?」
「神などという説得力のない存在と結婚したら国が荒れる。絶対にそなただけはない」
「そんなあ!」
 エアはショックを受けたようにのけぞる。
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