女王陛下は溺愛禁止!
「不埒は許さない」
 ラドウィルトだ。その目には憎悪に似た激怒が燃えている。
「殿下!」
 クライドの護衛が剣を抜くが、彼は手で制した。

「一国の王子に剣を向けるとは、大した度胸だ」
「陛下の害はすべて取り除く」
 言われたクライドはせせら笑う。

「素直になられるが良い。陛下が好きだから近付くな、と。決闘なら受けて立つ」
 挑発に、ラドウィルトは答えない。

「ラドウィルト、引け」
 アンジェリアの咎めに、彼は素直に剣を引く。それを見て護衛たちも剣を鞘に戻した。

「謝罪は申し上げぬ。今の事態には殿下の非礼もございますゆえ」
「ええ、もちろん。不問にいたしましょう」
 クライドは余裕の笑みを浮かべてラドウィルトを見る。

「あなたは下がったと思ったのですがね」
「すぐ戻りました」
 ラドウィルトは護衛のひとりに兵を呼ぶように命じ、すぐに戻ったのだ。

「わかった、今のってラドウィルトの嫉妬でしょ?」
 閃いた、とばかりのエアの喉元にラドウィルトの剣がつきつけられる。
「神に対しての所業じゃなくない!?」
 エアの抗議は受け付けられなかった。

「あまりな見当違いを言うのも怒らせる原因ぞ。ラドウィルト、勘弁してやれ」
 ラドウィルトは素直に剣を引くが、そうかなあ、とエアはぶつくさ言う。
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